@ 素晴らしいリーフクラブ・コスメル  
     
A 広大なウインダム・コスメル・リゾート&スパ  
     
B 夢のようなビーチとカリブ海に沈む夕陽  
     
  C オールインクルーシブ・リゾートの魅力  
     
  D マリンスポーツ天国  
     
  E 旅先での人との出会い  
     
◇ その他、一般情報  
     
     
     
@ 素晴らしいリーフクラブ・コスメル
   私は2008年2月9日から1週間、メキシコ・コスメルのリゾートホテル(リーフクラブ・コスメル)に滞在し、優雅なビーチリゾートを堪能してきた。コスメルはメキシコ・ユカタン半島の東側、カリブ海に浮かぶ島で、スキューバーダイビングやシュノーケリングで有名である。私は日本からサンフランシスコ経由でメキシコのカンクンまで飛び、そこからバス、フェリーを乗り継いでコスメルまでやってきた。日本からかなり遠いが海が好きな人にとっては訪れる価値はあると思う。

 宿泊したホテルは「ウインダム・コスメル・リゾート&スパ」。この中にリーフクラブ・コスメルがある。ホテルの入り口(写真1)では守衛が24時間体制で警備しており、外部からの不審者の侵入を厳重にチェックしている。タクシーでゲートをくぐり見知らぬビーチリゾートに足を踏み入れる。この瞬間がたまらない。エントランスでタクシーを降り、フロントに向かう。全体的に低層階の造りになっており、どの程度の規模のリゾートクラブなのか不明。とりあえずチェックインをする。

 フロント・ロビーは広々としており高級感がある。ロビーを抜けるとホテルのメインプール(写真2)があり、その向こうはカリビアンブルーの海(写真3)。絵に描いたようなビーチリゾートに出会い、思わず叫ぶ。「やった……!」

 このリゾートは相当規模が大きい。3階〜4階建てのビラ(写真4)がいくつもあり、それらが迷路のようにつながっている。ビラの間にはグリーンの芝生、木や花が効果的に植えられ、どこを見ても綺麗である。案内されたビラ(写真5)は「マラカイボ」。マラカイボとは大きな魚の意味らしい。写真の1階左コーナーが私の部屋である。ビラの周辺には花が沢山咲いている。今は2月、日本では一番寒さが厳しい冬の時期であるが、ここは、寒くも暑くもない。

 さて、待望の客室は「スチューディオ・タイプ」だった。キングベッド1台(写真6)がどーんと置かれている。部屋はかなり広い。大きなソファーとテーブル(写真7)。ウエルカムフルーツ(リンゴ)がうまかった。電子レンジ、トースター、コーヒーメーカー、流し、冷蔵庫、食器類等、ミニキッチン付きである。

 床から天井まで大きなガラス窓になっており、窓を開けると広々としたテラス(写真8)に出る。ここで、ゆっくりコーヒーが飲める。グリーンの芝生と周囲のカラフルな花がリゾート気分を盛り上げてくれる。私のビラの隣りにも同じようなビラ(写真9)が建っている。緑の芝生と青い空、そして白いビラのコントラストが美しい。ビーチフロントでないのが唯一の欠点であるが、ここで1週間(7泊)も滞在できる。再び心の中で叫ぶ。「やった……!」

 夕方、自分の部屋に帰ってくると、時々、思わぬプレゼントがあった。タオルによるデコレーション(写真10)である。この日はバレンタインだったので、ハートのプレゼント。壊すには惜しいくらい見事な出来映えである。しかし、写真を撮ってすぐ使ってしまう。はかない運命。この日はバスルームにも花が添えられていた。ちょっとしたサービスであるが、客の満足感はかなり上がる。ある日、可愛いい犬(写真11写真12)がベットの上で私を出迎えてくれた。これには驚いた。タオルデコレーションを毎日やってくれるのかな?と期待したが、残念ながら7泊して2回だけだった。

 海外の高級リゾートホテルに1週間もロングステイする場合、宿泊代金が問題になる。航空代金+高額宿泊代金を払っていてはとても海外リゾートは実現できない。私の場合、リーフクラブに7泊して、飲食代を除いて支払った総額は31500円である。夫婦2人で宿泊しても、家族4人で宿泊しても総額は31500円である。リゾートクラブの世界的な交換システムのRCIを利用したからである。実際に使ってみるとRCI海外交換利用の効果は計り知れない。詳しくは私の著書『熟年世代に送る 安くて豪華に旅する方法』を参照。

 しかし、良いことずくめでもない。客室のクローゼットは非常に出来が悪く開けたらなかなか閉まらない。バスタブも所々調子が悪い。客室の掃除は毎日してくれるが、午後遅くなっても終了していないこともある。とりわけ日本人は1人もいないので何をするのにも苦労する。つまり、こちらから次々に質問してサービス内容を確認し積極的に楽しみを追求しないと無視される。質問しても、スペイン語なまりの英語でかえってきて非常に聞き取りにくい。日本の高級ホテル・高級旅館の過剰サービスに慣れた日本人には不満が残るかもしれない。しかし、ここはメキシコ、現地の人々の中に入ってワイルドに楽しもう!
 
     
A 広大なウインダム・コスメル・リゾート&スパ
   リーフクラブ・コスメルは、現在、ウインダム(WYNDHAM)という巨大ホテル・リゾート組織の傘下に入り、名称も「ウインダム・コスメル・リゾート&スパ」(写真13)になっている。規模が大きいのと、色々なホテル・リゾートクラブが合併してウインダムになっているので、私は最初は混乱した。しかし、分かってしまえばウインダムの魅力が更に増す。

 ホテルのフロント・ロビーを中心として左右両方にホテル棟がある。いずれも2階〜3階建てのビラで20棟以上ある。私はホテル棟の客室を見せてもらった。リゾートホテルにしては客室が狭いが、ツインベッド(写真14)が標準装備されているのはありがたい。ソファー、キッチンは無く、かなり小さめのテーブルセット(写真15)があるのみである。バスルームはバスタブ無しでシャワーコーナーのみであった。ここが私にとって唯一の欠点になりそうである。しかし、全体的に綺麗な客室で不満はない。

 ホテル棟に続いてリージェンシークラブ専用プール(写真16)があり、その周囲には大型のビラがある。いずれもコンドミニアムタイプ(スチューディオ、1ベッドルーム、2ベッドルーム等)になっている。1週間単位で宿泊するタイムシェアのゲストはここに泊まる。私の部屋はスチューディオタイプなので、グレードアップした1ベッドルーム(ジュニア・スイートルーム)を見せてもらった。綺麗なベッドルーム(写真17)、広々としたリビングルーム(写真18)。ソファーはベッドにもなる。フル装備のキッチン。客室内の大型バスルームに加えて、バルコニーに展望ジャグジーがある。

 宿泊して2〜3日たってから、もう1つ、アダルトオンリーのホテルエリアがあるのを聞いたので行ってみた。名前は「サボア(写真19)」。サボアへの通路には24時間体制で守衛が立っていて、部外者の侵入を阻止していた。私も阻止されたが、リーフクラブのメンバーだと言って通してもらった。アダルトオンリーだけあって非常に洗練された雰囲気が漂っている。プールサイドには静かに音楽が流れ、数人の客が読書をしているのみ。まさに、リゾートを知り尽くした大人の世界である。プールサイドには特設のスパ(写真20)もある。ここで、全身マッサージを受ければ気持ちいいだろーな、と想像しつつ通り過ぎる。

 サボアホテル内には見るからにお客が少ないので、プールサイドにいたホテルスタッフに宿泊状況等根ほり葉ほり聞いてみた。そしたら「アメリカの住宅バブル崩壊以降、急にお客が少なくなった。客のほとんどがアメリカ人なので我々にとっては死活問題だ」
 「リーフクラブの宿泊者なら追加代金を払えばここのプールが利用できるので来いよ」等。何でも聞いてみるものである。

 夜のウインダム・コスメル・リゾート&スパは昼間とは違った魅力を持っている。夜のロビー(写真21)は一段とアダルトな雰囲気を醸し出している。ソファーが大きく、沢山あるので、私はここに座ってプールサイドの生演奏をよく聴いた。夜になるとプール内のライトが水中を青白く照らして実に美しい。その水面にイタリアレストラン「ロベルトス」やメキシコレストラン「チィレス」(写真22)が照らされる。プールサイドのラウンジチェアーに寝転がって、この風景を眺めていると時間を忘れる。そして、カリブ海に写る月の光。寒くも、暑くもなく、おまけに風もない。静寂の世界。私にとってここは理想のカリビアンリゾートになったようである。
 
     
B 夢のようなビーチとカリブ海に沈む夕陽
   朝6時起床。6時30分には短パンとTシャツでビーチに行く。大海原に向かって深呼吸をし、ストレッチ体操をする。そして、白い砂浜をゆっくり走りだす。少し肌寒い感じがするが、走れば暖かくなる。空は明るさを増し6時40分頃、真っ赤な太陽がコスメルの東側から昇り、海上の雲(写真23)をピンクに照らす。

 風もなく鏡のように静かな海(写真24)、沖合には小型船や大型ヨットが停泊している。それにしても時間が止まったような穏やかな海である。豪華客船(写真25)が遙か沖合をゆっくり通っていく。やはり、豪華客船はインパクトがある。しばらく、巨大船の動きを眺める。ほぼ、毎朝、色々な豪華客船が沖合を通り過ぎていく。コスメルはカリブ海クルーズの重要な寄港地で、朝、コスメルの港に着き、夕方、出航する。

 太陽が頭上で輝きはじめるとビーチやプールサイドでは日光浴をする人(写真26)が増える。私は日焼けを避けるため、もっぱらパラパの下でくつろぐ。沖合にタカラマンヨット(写真27)が浮かび、周りでシュノーケルを楽しんでいる。リーフクラブという名前が付いているように、ホテルの沖合には大サンゴ礁群がある。

 1週間も滞在すると「何もしない」贅沢なビーチリゾートが楽しめる。各自、お気に入りの場所を探し、そこでひたすら心と体を癒す。ビーチサイド・バーにあるウッドデッキ(写真28)、恋人達のためのパラパ(写真29)、そしてプールサイドのラウンジチェアー(写真30)等。今回も私は1人旅なので、残念ながら隣りの席は空席。少し寂しいがキャリアウーマンの妻は日本でお仕事です。実際、妻の経済力が私の優雅な旅を支えている。よって、私は妻に頭が上がらない。妻に頭を下げ1人海外に飛び立つ。妻に感謝!感謝!

 コスメルの海は透明度が抜群である。ホテルのビーチですら透き通っていて、シュノーケルが十分楽しめる。魚も多い。ただ、2月の海は海水温がやや低く、普通の水着だけでは冷たい。(と私は感じるのであるが、西欧人は平気で水着で泳いでいる)私はウエットスーツ(写真31)を日本から持参し、これを着て海に向かう。ウエットスーツは効果抜群であった。これさえ着用していれば全く寒くない。しかし、ビーチに上がってくると寒い。急いで温水シャワーを浴び、ウエットスーツを脱いで、Tシャツと短パンに着替える。新しい大きなビーチタオルを借りてパラパの下のチェアーで横になる。パラパの下(日陰)で横たわっていると寒くも暑くもない。実に快適な気候である。

 ある日の夕暮れ、偶然、ビーチウエディング(写真32)の場面に出くわした。簡素な作りで参列者の人数も多くないが、最高のロケーションで愛を誓える。

 早朝のビーチをジョギングしていたらリーフクラブよりはるかに高級そうなリゾートホテル(写真33)を見つけた。ホテルの敷地に入ろうとしたら恐そうなガードマンに阻止された。ここで引き下がってはダメなので、「隣りのホテルに泊まっている者だが、こちらのホテルの方が良さそうなので宿泊代金等色々聞きたい」と言ってフロントに通してもらった。

 早速フロントへ出向いて色々情報を仕入れる。それによると、このホテルの名前は「アウラ」、1ヶ月前にオープンしたばかりで、しかも、ウインダム傘下の最高級グレードのホテルという。宿泊代金は1人1泊$250〜(1室$500〜)という高額・高級ホテルであることが判明した。ただし、上記の値段はオールインクルーシブ代金。一日中食べ放題、飲み放題で1人3万円程度である。

 ホテル「アウラ」の客室の前にガーデンプールがあり、その先には広々とした白砂のビーチ、そして、青いカリブ海へと続く。完璧なセッティングである。特にアウラのガーデンプール(写真34)が素晴らしい。誰もいない早朝、風もなくプールの水面が鏡のように椰子の木を映す。

 ある日の夕方、ホテル「アウラ」のビーチを散歩しているとパーティのようなセッティング(写真35)がなされていた。ガーデンプールでの夕陽を見ながらの「カクテルパーティ」なのか、それとも、プールサイドの「ディナービュッフェ」なのか?何れにしても、非常に洗練されたビーチリゾートを演出している。

 太陽が西に傾き、空があかね色に染まってくる頃、沖合を豪華客船(写真36)が通り過ぎていく。これから夕陽のクライマックスがはじまる。一瞬、一瞬、海の色が変わっていく。私はいつも夕暮れ時にはカメラを携えてビーチを散歩した。そして、1週間滞在して、様々な表情をした夕陽に出会った。カリブ海に沈む夕陽と小舟(写真37)、カリブ海に沈む夕陽とパラパ(写真38)、そして、夢のようなカリブ海に沈む夕陽のシーン(写真39)。カリブ海は1月〜3月頃が乾期のベストシーズンで、暑くなく寒くない。しかも、毎日、真っ赤な夕焼けが楽しめる。
 
     
C オールインクルーシブ・リゾートの魅力
   私が泊まったリーフクラブは「オールインクルーシブ・リゾート」。オールインクルーシブというのは中南米のリゾートではよくあるシステムで、名前の通り「すべて込み」という意味である。チップ、食事、飲み物、モーターを使わないアクティビティ等、すべて代金に含まれている。早朝から深夜までどこかのレストランはオープンしており、そこで何を食べても何を飲んでも自由。特筆すべきはアルコールも代金に含まれていることである。ただし、ロブスター等特別料理(写真40)のみ追加料金が必要、また、ルームサービスはない。私の支払ったオールインクルーシブ代金は1人1日55$(約6000円、1$=110円換算)である。コスメルの物価高を考えると、これはかなりお値打ち価格だと思う。特に、アルコール好きの人にはたまらない……。

 いつものように、6時に起床。6時半頃から早朝のビーチを軽くジョギングして、ホテルのメインプール周辺にもどってくる。ビュッフェレストラン「ラ・イスラ」(写真41)はメインプールとビーチに面し、朝7時からオープンする。ビュッフェカウンターからうまそうな物をピックアップして、自分流の朝食セット(写真42写真43)を作る。席が空いていればテラス席(写真44)に座り、カリブ海を眺めながらゆっくり食事をする。リゾートの1日のはじまりである。朝食後はコーヒーカップを持ってビーチサイドのバーにあるデッキやまだ誰もいないビーチのパラパの下に移動。ここで、再び海を眺めながら、ぼんやりする。さて、今日は何をしようか…。

 リージェンシークラブのレストラン「ヴィスタ・デル・マル」(写真45)でも朝食が食べられることを後で知った。朝7時からオープン。週の後半はここのテラス席(写真46)が、私の指定席になった。このレストランはハム、チーズ、フルーツ、ジュース、パン等はビュッフェ形式になっているが、きちっとした朝食メニューも注文できる。最初は伝統的なメキシコの朝食メニュー「Rancheros」(写真47)を注文。はっきり言って、まずい。もう注文しない。

 次の日からは普通の朝食メニュー、オムレツ、フレンチトースト、パンケーキを注文する。結構うまい。時間を気にせず青い空と青い海を眺めながらゆっくり朝食を食べる。数多くのダイビングボートやクルーザーが出航(写真48)し、時折、豪華客船が沖合を通っていく。ビーチリゾートの朝にふさわしい至福の時である。

 午前中、ビーチの前の海でシュノーケルを楽しんで、お昼頃になると、お腹が減ってくる。メインプール横にあるメキシコ料理兼軽食レストラン「チィレス」(写真49)で典型的なメキシコ料理(写真50)に挑戦してみる。トウモロコシをパリパリに揚げた「トルティージャ」の上に「サルサ」をかけて食べる。本日のサルサは「グアカモレ」。アボカドをメインに、トマト、タマネギ、チーズなどが入っている。辛くなく結構うまい。しかし、トルティージャはパリパリせんべみたいで、何となく食事という感じはしない。「チィレス」ではメキシコ料理以外にもピザ、ハンバーガー等の軽食も味わえる。

 夕食は4カ所のレストランから選択でき、どこで食べても無料である。ただし、ビュッフェレストラン「ラ・イスラ」以外は事前の予約が必要である。私は最初の数日は気楽なビュッフェレストランで様々な料理(写真51)を楽しみ、少し飽きてきたので他のレストランも予約して体験してみた。その中で、一番のおすすめはメインプールに面したイタリア料理レストラン「ロベルトス」(写真52)であろう。

 ある夜、私は「ロベルトス」でフルコースのディナーをとった。前菜(マグロのカルパッチョ)、スープ(ミネストローネ)、メイン(ロブスター)、デザート(アップルパイ、バニラアイスクリーム添え)コーヒー。全種類、とてもうまかった。ロブスターは追加代金$35が必要であるが、日本の伊勢エビサイズのロブスターが2匹もお皿に載っていて、実にうまい。ボリュームもあるのでトライしてみる価値はある。

 私はアダルトオンリーのサボア内のオリエンタル料理レストラン「モザイク」(写真53)でもディーナーをとった。中華料理を中心に前菜、スープ、メイン、デザート等、コース料理を味わう。十分満足、デザート(アイスクリームのテンプラ:写真54)が絶品だった。

 夜遅くなるとお腹が減ってくる。そういうハングリーな客には「スナック・ミッドナイト・ラ・イスラ」が夜11時からオープンし、深夜1時まで軽食・デザートがサービスされる。味はいまいちであるがケーキ類も沢山ある。このように、オールインクルーシブ・リゾートはどこで食べても、何回食べても無料(代金込み)なので、気をつけないとどんどん体重が増加する。でも、ホテルには体重計がないので、体重アップは誰も分からない。安心して食べまくれる?
 
     
D マリンスポーツ天国
   コスメル滞在中に、私は、ビーチのシュノーケル以外に3回マリンスポーツをした。「ボートによるシュノーケリングツアー」「体験ダイビング」「チャンカナブ国立公園でのシュノーケリング」である。

@ボートによるシュノーケリングツアー

 私の宿泊しているリゾートホテルの一角にダイブショップ「SAND DOLLAR SPORTS」(写真55)がある。ここがダイビングやシュノーケリングツアーの受付兼集合場所で、ウエットスーツはじめ機材もすべてレンタル可能である。ダイビングショップから少し歩いて岩場に張り出した桟橋からダイビングボート(写真56)が出航する。この船に乗って沖合いにある巨大サンゴ礁群のシュノーケリングツアーに行くのである。期待が高まり、心拍数が増える。

 リゾートクラブのビーチ(写真57)は砂浜であるが、桟橋周辺(写真58)は岩場になっている。水は透明で海底まで透き通ってよく見える。船は沖合いのリーフまでスピードを上げて走って行く。小船なので揺れが激しい。船酔い防止のため目を閉じてリラックスする。途中、コスメルの西海岸にあるビーチをいくつも通り過ぎる。それにしても、太陽光線が強く、また、海の色が青い。出航して40分ほど南に下り、最初のポイント「コロンビア・リーフ」に到着。ここで、最初のシュノーケリング(写真59)をし、次に、別のポイント「パランカ・リーフ」へ移動して、再びシュノーケリング。

 約2.5時間のシュノーケリングツアー($25)を終了して桟橋に帰ってくる。コスメルの海は沖縄やプーケットの海と較べると珊瑚が非常に少ない。少々がっかりである。しかし、海が深くダイナミックで、はるか下方にある白い海底と、さらに、リーフから切れ落ちた底の見えない「ダークブルー」の世界が恐ろしくも魅力的であった。

A体験ダイビング

 私は3年ほど前、「PADIオープン・ウォーター・ダイバー」のライセンスを取ったのであるが、今や完全にペーパー・ダイバーである。よって、とりあえず、体験ダイビングをしてみた。コスメルでも有数の人気ホテル「フィエスタ・アメリカーナ・コスメル・ダイブ・リゾート(写真60)」に行く。このホテルの一角に「ダイブ・ハウス」があり、日本人スタッフ(ダイバー)が常駐している。ダイブハウスのすぐ前に桟橋があり、そこからダイビングボートが出る。体験ダイビングはビーチダイビング。周囲は岩場で透明度抜群である。

 私は予定の時間より1時間ほど前にフィエスタホテルに行き、ビーチサイドの「リーフ・レストラン」で軽く食事をした。ハンバーガーとスプライトを注文して$12。安くない。食後、ホテルのプライベートビーチ(写真61)をぶらぶら散歩する。今日も日差しが強い。強烈。これなら鮮やかな海中世界が期待できそうである。日本人ダイバーと潜る予定で申しこんだのであるが、日本人ダイバーの体調不良で、説明が日本人(若くてかわいい女性、ラッキー)、パディは男性メキシコ人(英語OK)となった。体験ダイビング費用は全ての機材込みで$60、実際のダイビング時間は30分程度だった。

 久しぶりのダイビングでかなり緊張し、耳のエア抜きに苦労した。心に余裕がなく、カリブの海の素晴らしさをじっくり味わう前にダイビングが終了してしまった。シュノーケリングで満足しておくか、もっと本格的にダイビングをするか、悩む私(写真62)である。

Bチャンカナブ国立公園でのシュノーケリング

 ある日、私は「チャンカナブ国立公園」に遊びに行った。朝、9時頃、ホテルを出てタクシーで公園に向かう。10分くらいで公園に着く。ダクシー代は$10程度。結構高い。$16の入園料を払ってビーチ(写真63)に行く。ビーチの美しさにまず感激「やった……」。朝一番なので、どこのパラパも空いている。私は一人で来ているので、貴重品を預けるロッカーは必需品である。ダイブショップにロッカーがあったので$2払ってロッカーを借り、その前のパラパを占有する。パラパは無料。

 ウエットスーツを着込んで、いざ、出陣。目の前のビーチは岩場(写真64)になっており、ここでシュノーケリング三昧である。手すりにつかまって慎重に海へ降りていく。水が冷たい。やはり、ウエットスーツは必携。ドボーンと潜る。その瞬間、本当に感動した。水中30m〜40m先まで抜けて見える。空から強烈な太陽が差し込み深い海底の白砂を照らす。その間をトロピカルな魚(写真65)が悠然と泳ぐ。これは凄い。

 1時間ほど夢中でシュノーケルをして、一端、ビーチに上がり、「マリア像」と「キリスト像」の位置を確認。再度、海へ入る。この公園の海底深くに「マリア」と「キリスト」が眠っているらしい。何だかロマンを感じる。それを今から探しに行く。教えてもらった方向に一直線で泳ぐ。水深10mほどの底から巨大な「キリスト像」(写真66)が見える。キリストの真上まで行く。キリスト像はかなり大きく、白い海底にしっかり立って両腕を広げて空を見上げている。威厳があるが、体はやせて顔は苦しげである。死の直前の苦しさを表現しているのだろうか?合掌してUターンする。マリア像も見つけたが、こちらは小さくてインパクトなし。

 午前中のシュノーケリングを十分楽しんだ後、パラパの下のチェアーでしっかり休む。夢中で海の中を泳ぎ回ったので相当疲れた。暑くもなく寒くもない。近くの売店でジュースを買ってきて飲む。特に、何もすることなく、周りはのんびりムード(写真67)が漂っている。

 ふと、日本語が聞こえてきたので振り返ると、日本人の団体がダイブハウスでシュノーケルのレンタルをしている。5組10人ほどの団体であるが全員若い男女で、いかにもハネムーンの雰囲気が漂っている。どうやらカンクンからの1日ツアーのようである。それにしても白い肌のスリムな日本人女性が美しく見える。中年おじさんのいやらしさ?ここで一句。

 「年老いて、しみじみ想う、若き日々」

 ビーチと森の間に大きな池がある。名前は「チャンカナブ・ラグーン(写真68)」。透明な水の中に沢山の魚が泳いでいる。ラグーンのそばで大きなイグアナ(写真69)を見つけた。恐そうな顔をしているが、性格はおとなしく近寄っても逃げない。リーフクラブでもイグアナを見つけたが、いろいろなカラーのイグアナがいるようである。

 そろそろお腹が減ってきたのでビーチに面したメインレストラン「ラ・ラグーナ」(写真70)で昼食にする。メニューから「魚のグリル($13)」とスプライト($2.5)を注文する。出てきた料理(写真71)は、炒めたたまねぎの上にグリルした魚(白身魚)がのっており、ライムを搾って食べてみたら、very good。タコスにはさんで食べてもgood。料理には期待してなかっただけに大正解だった。急ぐことはないので、海を眺めながら、ひたすらゆっくり食事をする。それにしても物価が高い。楽団員(写真72)が私のテーブルに来たので、マリアッチの歌を披露してもらう。終了後、チップをあげて写真を撮らせてもらった。

 食後は自分のパラパにもどり、お昼寝と決め込む。暑くも寒くもない。2月のコスメルの気候は実にいい。チェアーに寝転がって見上げると、青い空、白い雲、そして、背の高い椰子の木(写真73)。今日は2月14日、これは夢の世界? 体が火照ってくればシュノーケリングをし、また、休む。これを、夕暮れまで数回繰り返す。

 夕日が西に傾きはじめると急に人が少なくなり、なんとなく寂しくなってきた。そろそろ帰ろかな…。
 
     
E 旅先での人との出会い
   旅において、見知らぬ人との出会いが、その旅を一層想い出深いものに仕上げてくれる。リーフクラブに1週間滞在して、私は色々な人と知り合いになった。

 クラブ滞在客の中でもジョセフ夫妻と特に親しく話をするようになった。彼らはニューヨーク州アスイーゴに在住のアメリカ人で、夫のアンソニーは元高校の音楽教師、妻のキャシーは元官公庁勤めのキャリアウーマンである。2人とも数年前にリタイアし、キャシーはガーデニングや絵画を楽しみ、アンソニーは現在もクラリネット奏者として音楽活動を続けている。お互いに尊敬しあい非常に仲がいい。マイホームのローンも完済し、退職後の旅行のためにRCIポイントを購入して、毎年2月にコスメルのリーフクラブに来るという。最終日の夜は彼らと一緒にディナーを楽しんだ。そして、来年の2月、リーフクラブでの再会を約束した。

 毎日、同じレストランに行くとウエイター達とも顔見知りになる。これがまた楽しい。彼らの中でも朝食レストラン「ヴィスタ・デル・マル」のアンジェル(写真74)が印象に残っている。彼の英語はスペイン語なまりで聞き取りにくかったが、何日も通う中でメキシコ料理について、リーフクラブについて、さらに、勤務条件や失業等についても話を聞くことができた。現地の若者と直接話をすることによって、彼らの心の内を少しだけでも垣間見ることができる。お互いにファーストネームを呼び合い、楽しい一時を過ごすことができた。

 ダイビングショップに勤めるメキシコ人プロダイバーの「ハイメ・フローレス」(写真75)さんも印象に残っている。私がシュノーケルツアーの申し込みをしに行くと、彼がいきなり日本語で話しかけてきた。彼は日本に非常に興味を持っており、数年前、メキシコシティの日墨文化交流学院で日本語を勉強したと言う。将来、日本でスペイン語の教師をしたいと夢を語る。彼は誠実そうな好青年だったので、私の著書『熟年世代に送る 安くて豪華に旅する方法』を記念にプレゼントした。次回コスメルに来る時は日本語とスペイン語をお互いに教え合い、一緒にコスメルの海をダイビングしようと約束して別れた。

 2008年2月16日、1週間のコスメル(リーフクラブ)滞在が終了した。午前11時頃ホテルをチェックアウトし、まず、タクシーで20分くらいかけてコスメル唯一の港「サンミゲル」へ行く。代金は$30。そこから、フェリー($12) に乗りプラヤ・デル・カルメンに向かう。今日も天気が良く、強烈な太陽が海を照らしている。フェリーがコスメル(写真76)から離れていく。コスメルの海はどこを見ても美しい。遠くに豪華客船が見える。

 コスメル(サンミゲル)からプラヤ・デル・カルメンまでフェリーで30分。海を眺めながら船旅を楽しむ。船内では歌とバンドの生演奏がはじまった。「ラ・バンバ?」どんな歌なのか知らないが、張りのあるボーカルと陽気なリズムにメキシコを感じる。

 メキシコ音楽を楽しんでいたらすぐ「プラヤ・デル・カルメン」に着いてしまった。濃い緑色をした海(写真77)の美しさに驚く。海底にリーフがあるらしく、海の色が場所によって違っている。薄い緑から濃い緑まで変化する。プラヤ・デル・カルメンのフェリー乗り場のすぐ横に大きなホテル(写真78)とビーチを見つけた。この地域は「リビエラ・マヤ」と呼ばれ、カンクンに飽きた人達の間で人気上昇中という。

 フェリーから降りて桟橋(写真79)を大きなスーツケースを引っ張って歩いていくと、次々に声がかかる。タクシーの呼び込みである。カンクンの空港までの値段を聞いたら$50。急ぐ旅でもないのでタクシーはやめ、プラヤ・デル・カルメンのメインストリート、名前も「5番街」(写真80)をぶらぶら歩きながら、長距離バスターミナル方向へ向かう。バスターミナルで空港行きチケット($8)を購入して大型バスに乗車、約1時間でカンクン国際空港に到着した。そして、16:51発サンフランシスコ行きボーイング757-200に搭乗、カンクンを飛び立った。

 コスメルよ、メキシコよ、さらば! また、来るぞ……
 
     
◇ その他、一般情報
 
コスメル内RCI加盟リゾートクラブ

  ☆:ゴールドクラウン認定リゾート
  ◎:その他のリゾート
  ---[All Inclusive - Mandatory] :宿泊者全員オールインクルーシブ
  ---[All Inclusive - Optional]:オールインクルーシブの選択可能

☆Reef Club Cozumel ---[All Inclusive - Mandatory]
http://www.wyndhamcozumel.com

☆Sabor Resort ---[All Inclusive - Mandatory]
http://www.saboresorts.com

☆Occidental Grand Cozumel ---[All Inclusive - Mandatory]
http://www.occidental-hoteles.com

☆Occidental Allegro Cozumel ---[All Inclusive - Mandatory]
http://www.occidental-hoteles.com

☆Occidental First Club Allegro Cozumel ---[All Inclusive - Mandatory]
http://www.occidental-hoteles.com

☆Cozumel Palace ---[All Inclusive - Mandatory]
http://www.palaceresorts.com

☆Coral Princess Club
http://www.coralprincess.com

☆RHC/Park Royal Cozumel ---[All Inclusive - Mandatory]
http://www.royal-holiday.com

☆Melia Vacation Club at Melia Cozumel ---[All Inclusive - Mandatory]

☆El Cid La Ceiba Cozumel ---[All Inclusive - Optional]
http://www.elcid.com.mx

☆SMVC @ Sol Melia Cozumel ---[All Inclusive - Optional]
http://www.smvc.com

◎Presidente Intercontinental Cozumel
http://www.cozumel.intercontinental.com

◎Club Villablanca

◎Hotel Cozumel and Resort ---[All Inclusive - Mandatory]
http://www.hotelcozumel.com.mx


コスメル内の一般ホテル

  ☆のホテルは上記のリゾートクラブ併設

◎フィエスタ・アメリカーナ・コスメル・ダイブ・リゾート
http://www.fiestamericana.com

☆プレジデンテ・インターコンチネンタル・コスメル・リゾート&スパ
http://www.cozumel.intercontinental.com

☆コスメル・パレス
http://www.palaceresorts.com

☆オキシデンタル・グラン・コスメル
http://www.occidentalhotels.com/grandcozumel

☆ラ・セイバ
http://www.elcid.com

☆ホテル・コスメル&リゾート
http://www.hotelcozumel.com.mx

                                        (2008年5月 掲載)