@ ウェストミンスター寺院と国会議事堂  
     
A バッキンガム宮殿からトラファルガー広場  
     
B ロンドン塔とタワー・ブリッジ  
     
C ローズ・ガーデンと大英博物館  
     
D オペラ・コンサート鑑賞  
     
E 一般情報  
     
  旅行日時:2010年6月28日〜7月4日
為替レート:1ポンド=135円
 
@ ウェストミンスター寺院と国会議事堂
  2010年の6月下旬、我々夫婦はロンドンに6連泊して、初夏のロンドン滞在を満喫した。お泊まりのホテルはハイドパークに近い「ハイドパーク・タワーズホテル」(写真1)。清閑な住宅街にあり、予想通りの美しい外観に満足する。ホテル前庭のテラス席も非常にいい。

ただし、外観は綺麗であるが内部は古くて機能的ではない。また、客室の配置が複雑で初日は狭くてひどい部屋になっていた。よって、即、フロントに変更の申し出をし、翌日からメインストリートに面したバルコニー付の部屋に交換してもらった。(追加代金なし)

部屋のバルコニーからの眺め(写真2)が素晴らしい。朝、夕、ここに出て新鮮な空気を吸う。宿泊代金は1泊2名朝食付ツインルーム(写真3)で17414円(税・サ込み、エクスペディア)である。広いバルコニー付の部屋はメインストリートに面した1階(日本では2階)部分の4部屋しかない。新しい部屋に入った妻は大満足でバルコニー(写真4)から手を振る。

我々はロンドン郊外のホテルから地下鉄に乗って「ハイドパーク・タワーズホテル」に移動したのであるが、ここで妻が大感激をした。ロンドンの地下鉄は階段が多く、大きなスーツケースを持っての移動は苦労する。しかし、妻が大きなスーツケースを持って階段を上がろうとすると「必ず」英国紳士が手助けしてくれ、スーツケースを軽々と持って階段を上がってくれるのである。また、地下鉄車内でもマナーがいい。女性でも自分の前の席が空いたからといって我先に座るのではなく、隣の人に「どうぞ」と譲ってから座る。さらに、車内が込んでいれば紳士は女性を優先させる。ロンドン好印象!私も英国紳士になろう。

ロンドンはナショナルトラスト運動発祥の地だけあって美しい森や公園が至る所に残されている。まずは「セント・ジェイムス・パーク」に行く。公園の中央には大きなカフェテリア・レストラン(写真5)があり、ランチ、ティータイム、そして夕暮れからのディナー等、いつでも市民が利用できるようになっている。カフェテリアの前には「セント・ジェイムス・パーク湖」(写真6)が広がり、カモや白鳥の生態も観察できる。ちょうど昼時になったのでカフェテリアでサンドイッチとコーヒー、紅茶を買ってきて、湖に面したテーブル席(写真7)でランチを楽しむ。優雅な時間が流れる。

セント・ジェイムス・パーク西側のホース・ガーズ通りにくると美しい建物(写真8)に出会う。これは旧海軍省のもので、その横に騎兵の交替式で有名な「ホース・ガーズ」(写真9)がある。さらに、政府庁舎(写真10)が続き素晴らしい建築群となる。

ロンドン市内にある世界遺産の1つである「ウェストミンスター寺院」(写真11)を訪れる。午後の光が白亜の教会を照らし実に美しい。ウェストミンスター寺院は、1066年のノルマン征服以来、歴代の国王の戴冠式が行われた教会である。故ダイアナ妃の葬儀もウェストミンスター寺院で行われた。

徒歩での市内観光は疲れる。ウェストミンスター寺院の前にある青い芝生(写真12)に寝転がってしばらく休憩する。気持ちい〜い。6月下旬のロンドンは太陽が出てくると暑くなり半袖の夏服が必要だ。しかし、日陰に入ると涼しくて上着が欲しくなる。ウェストミンスター寺院に入場し、2時間ばかり歴史の勉強をする。

国会議事堂前の広場に何やら変なテント集団がある。ここは「デモクラシー・ビレッジ」(写真13)と呼ばれ、政治的スローガンを掲げて勝手にキャンプしている人々だそうだ。イギリス政府は民主主義の名誉のため強制排除はしないという。強権的な中国政府との大きな違いである。(拍手!イギリス政府)デモクラシー・ビレッジ前に豪華な「政府庁舎省」(写真14)が建っている。

地下鉄「ウェストミンスター駅」から地上に出るとテムズ川の東岸(写真15)が見渡せる。国会議事堂周辺観光にはこの駅が一番便利である。写真を撮りながらウェストミンスター橋を渡る。テムズ川西岸(写真16)の風景もなかなか見応えがある。国会議事堂(写真17)の正式名称は「ウェストミンスター宮殿」で、1834年の大火災の後、改修して現在の姿になったという。テムズ川の東岸は絶好の散歩道になっており、ここからの国会議事堂(写真18)の眺めも素晴らしい。

ウェストミンスター橋を渡り終わった所に宮殿のような立派な建物「ロンドン・マリオット・カウンティ・ホール」ホテル(写真19)がある。マリオット・ホテルに忠誠心を誓い、熱心にマリオット・ポイントを集めている私は迷うことなく表敬訪問する。ロビーは重厚でやはり宮殿のような面影がある。

とりあえずトイレを使わせてもらい、営業中のカフェ・ラウンジ・レストラン等を見学する。素敵なラウンジ(写真20)があったので入店する。コーヒーと紅茶を注文して一休みする。お客は少なく店内にはクラシックの音楽が流れる。ビッグ・ベン周辺の喧騒がウソのように静かで、ゆっくりくつろげる。英国式アフタヌーンティーもある。コーヒー・紅茶とも値段は高くなく3.5〜4ポンドくらいだったと思う。チィップを含めて合計10ポンド(1350円)払う。隣接のレストランも重厚感があってなかなかいい。

マリオットのロビーに行き黒い制服を着たコンシェルジュに質問する。「このホテルは宮殿のような雰囲気がしますが、マリオットホテルが誰かから買ったのですか?」「いや、マリオットは借りているだけですよ。オーナーは日本人です」

日本の「Shiroyama Company」がサッチャー首相から買ったという、驚くべき答え!イギリスの財政赤字を削減するために鉄の女「サッチャー首相」は政府の建物を売った。それを城山さん?は底値で買いマリオットに貸している。凄いぞ、城山さん(拍手)そこで、重ねて質問する。
私「日本人の宿泊者は多いですか?」
コンシェルジュ「あまり見かけませんね」

ガックリ。宿泊料金は1泊ルームチャージで3.5万円〜4.0万円(税・サ込)。お金に余裕のある日本人へ、ロンドン宿泊の折には「マリオット・カウンティ・ホール」へどうぞ‥‥。マリオット・カウンティ・ホールの前にある公園から見た「バラと国会議事堂」(写真21)がこの日のベストショット。

 
     
A バッキンガム宮殿からトラファルガー広場
  今日の観光の目玉は「バッキンガム宮殿」の衛兵交替式である。トラファルガー広場からバッキンガム宮殿へと続く広い通り「ザ・マル」(写真22)を歩いていたら、突然、騎兵隊(写真23)が整然と行進していくところに出会った。実にかっこいい。しかし、騎兵隊の後ろは車の渋滞である。次に違う方向から音楽隊(写真24)が現れ、パレードしながらバッキンガム宮殿に向かう。ロンドンでしか見られない貴重な光景に嬉しくなる。

バッキンガム宮殿を南から入る所に金色に装飾された黒い扉の門(写真25)がある。いかにも宮殿らしい。さわやかに晴れ渡った青い空。6月下旬のヨーロッパは旅行に最適の時期である。初夏の花々で囲まれた「バッキンガム宮殿」(写真26)が美しい。平日にもかかわらず宮殿前の「ヴィクトリア女王記念碑」(写真27)周囲は衛兵の交替式を見ようと大勢の人だかりである。

待つこと30分、やっと宮殿前に騎兵隊が現れた。さっき、ザ・マルで出会った騎兵隊が帰ってきたのである。そして、歩兵隊もやってきて、宮殿の中に入っていく。宮殿を囲む塀(写真28)の周りには何重もの人だかりができており、とても中の様子(交替式)は見られない。宮殿内の交替式を見たければ、朝早くからバッキンガム宮殿の塀の外側に行って場所取りをしなければならない。

バッキンガム宮殿の周囲は広大な公園に囲まれていて一休みに適した場所が沢山ある。宮殿横にあるグリーンパーク(写真29)に入り大きな木の下で休憩する。綺麗に手入れされた芝生に寝転がって仮眠する。これぞ個人旅行の素晴らしさ!近くにリス(写真30)が寄ってきた。人慣れているせいか、近付いてもあまり怖がらない。

バッキンガム宮殿の西側に大きな公園「セント・ジェイムス・パーク」がある。この中のセント・ジェイムス・パーク湖から眺めたバッキンガム宮殿(写真31)も素晴らしい。ロンドン市内には絵になる風景が至る所にありカメラマンの血が騒ぐ。

バッキンガム宮殿からトラファルガー広場に向かって大きな通り「ザ・マル」を歩く。左手に白亜の「カールトン・ハウス・テラス」(写真32)が続く。第二次大戦中、ド・ゴール将軍はここで自由フランス軍の指揮をとっていたという。ザ・マルの終点は海軍門(写真33)である。ここをくぐると「トラファルガー広場」に出る。

トラファルガー広場にひと際高く「ネルソン記念柱」(写真34)がそびえる。高さは55m。トラファルガーの海戦でナポレオン軍を撃破したネルソン提督(同海戦で戦死)の功績を称えて建築された。
トラファルガー広場に面して堂々と建つ「ナショナル・ギャラリー」(写真35)は西洋絵画のコレクションとしては世界最高水準にもかかわらず、入場料は無料だ。トラファルガー広場の中央にある「ライオンの像」(写真36)は日本の百貨店「三越」のライオン像のモデルという。

トラファルガー広場からピカデリーサーカスまでは地下鉄で1区間、歩いても近い。この日はなぜか大群衆でピカデリーサーカス(写真37)が埋っている。何事かと思って聞いてみると「ゲイ・パレード」(写真38)だという。パレードを見物する群集の多さにも驚く。私には理解し難い光景である。永遠のラブ・ミュージカル『オペラ座の怪人』を上演している「ハー・マジェスティーズ・シアター」(写真39)がこの近くにある。

パレードの群集をかき分けて「ロンドン三越」の地下にある日本料理店「レストラン三越」に入る。「刺身と煮物のランチ」(写真40)を注文、久しぶりの日本食で実にうまい。値段は13.8ポンド、現在のレート(1ポンド=135円)で換算すると1863円になり高くはない。

私は10年以上前にロンドンに1週間滞在したことがあるが、その時、1ポンド=約240円くらいした。このレートで換算すれば、三越のランチ(13.8ポンド)は3312円に跳ね上がる。為替レートが1ポンド240円から135円に円高・ポンド安になったということは、イギリス滞在の全ての費用が44%オフになったということで、日本人にとってメリットは大きい。以前、ロンドンに滞在した時は物価が高くてロンドンには住めないと思ったが、今の物価水準は日本並と感じた。(円高大歓迎!)

 
     
B ロンドン塔とタワー・ブリッジ
  ハイドパーク・タワーズホテルの朝食ビュッフェ(写真41)には豊富なフルーツがある。しかも、食べやすいようにカットされているので有難い。新鮮なフルーツをたっぷり食べてエネルギーを補充する。

滞在のホテルから南へ5分も歩けば「ハイドパーク」に至る。この日はハイドパークの西端にある「ケンジントン宮殿」観光からはじめる。ケンジントン宮殿(写真42)は英国王室の宮殿で、かつてはチャールズ皇太子と故ダイアナ妃の住居であった。宮殿正面ゲートには今でもダイアナ妃を偲ぶ飾りつけがある。ダイアナ妃の住居を是非見たいと思って宮殿(写真43)に入場したが、全く期待外れだった。ダイアナ妃を偲ぶものはほとんどなく、宮殿の古い部屋や衣服等があるのみ。しかも、保存のためか宮殿内は暗い。

ハイドパークの西北、ベイズウォーター・ロードに面して古風な外観の「ヒルトン・ロンドン・ハイドパーク」(写真44)がある。ここに地下鉄「クイーンズウェイ駅」があり、私の宿泊ホテルから至近距離なので、以後、ここから地下鉄セントラル線に乗ってロンドン観光に出かける。本日のメインは世界遺産「ロンドン塔」観光である。

地下鉄「タワー・ヒル」駅から地上に出ると、目の前に「ロンドン塔」(写真45)の威容が現れる。チケットを買ってロンドン塔の門を入る。ロンドン塔は世界遺産に登録されているのでしっかり観光しよう。

ロンドン塔の内部は広く、沢山の建物がある。まずはロンドン塔内の「ジュエル・ハウス」(写真46)に入る。ここには、国王の即位の時に使われる王冠、宝珠、王錫といった宝器をはじめ、数々の宝物が展示されている。次にロンドン塔内の中央に高く聳える「ホワイト・タワー」(写真47)に入り階段を上って最上階まで行く。ホワイト・タワー内には様々な展示物(写真48)がある。しかし、エヤコンがなく内部は蒸し暑い。石造りの堅固な建物が多いロンドン塔の中にもメルヘンチィックな建物(写真49)もある。

ロンドン塔は英国王室の宮廷としても使われたが、もっぱら牢獄、拷問、処刑の場としての歴史を刻んできたという。
この高い壁(写真50)に囲まれた牢獄に幽閉されたら二度と出てこれない。王侯・貴族達の血肉の争いは世界共通、そして、最後は残酷な処刑となる。美しいロンドンの風景も一皮むけば血なまぐさい歴史が見えてくる。

ロンドン塔の前から見る「タワー・ブリッジ」(写真51)が素晴らしい。テムズ川を船が行き交い、人々が河畔でくつろぐ。それにしても人が多い。地元の人か?観光客か?我々も群衆にまじってテムズ川の川岸をタワー・ブリッジの方向に歩く。丁度、ブリッジの近く(写真52)にスターバック・コーヒーがあったので、軽いランチにする。腹ごしらえの後、タワー・ブリッジ(写真53)を渡る。タワー・ブリッジは跳ね橋として造られたもので、かっては下の橋が1日に50回くらいは上がっていたという。

橋を渡って対岸の公園に行く。ここから眺めるタワー・ブリッジ(写真54)も素晴らしい。タワー・ブリッジを眺めながら芝生に寝転がる。折角なので、タワー・ブリッジの塔の上のブリッジまで行ってみることにする。

入場料を払ってエレベーターに乗る。ガラス張りの歩道橋からロンドン市内が一望できる。残念ながら歩道橋は完全にガラスで囲まれ閉鎖的である。テムズ川上流方面に「HMSベルファスト号」(写真55)が停泊している。この船は1936年に建造された巡洋艦で、第二次大戦、朝鮮戦争などで活躍、1965年に現役を退いたものである。テムズ川下流方面(写真56)を眺める。

ロンドン塔とタワーブリッジ観光の後、妻が「英国式アフタヌーン・ティー」を体験しよう、と言うのでピカデリー・サーカスに戻って、カフェ「リシュー」(写真57)に入る。豪華な店内(写真58)にもかかわらず、リーズナブルな価格、というパンフレットの宣伝につられて入ってみた。本場英国式アフタヌーンティー(写真59:2人分)は3段ではなく2段で、上段にサンドイッチ、下段にスコーンとケーキになっている。2人分で30ポンド(約4000円)もした。普通の味で1人2000円?疑問の残るアフタヌーン・ティーであった。

ロンドン市内には至る所にパブ(写真60)があり、路上でビールを立ち飲みしている人が多い。店先を飾る花々が綺麗である。ヨーロッパの夏は日が高いので夜までしっかり観光ができる。

この日の最後は「セントポール大聖堂」(写真61)観光である。建築家クリストファーレンの「セント・ポール大聖堂」(写真62)は大きなドームをかぶせたルネッサンス様式で、高さは約111mもある。堂々として優美!素晴らしい。

セント・ポール大聖堂を南に少し歩くとミレニアム・ブリッジ(写真63)になる。ミレニアム・ブリッジを渡ってからセント・ポール大聖堂の内部見学をする。豪華絢爛な内部(写真撮影禁止)を紹介できないのが残念である。足腰の強い我々はドーム頂上をめざす。階段は528段もあり、なかなか頂上に着かない。途中に「ささやきの回廊」「石の回廊」があり、登るにつれて階段は狭くなる。そして、最後の「金の回廊」に着く。大聖堂のフロアから85m、528段の高所である。ドーム頂上からの眺め(写真64)。しかし、天気が良くないせいか、あまり感激がない。眼下にミレニアム・ビレッジ(写真65)が見える。

 
     
C ローズ・ガーデンと大英博物館
  ロンドンの公園と言えば「ハイドパーク」が有名であるが、リージェンツ・パークの中に「ローズ・ガーデン」という庭園があり6月になるとバラの花が咲き乱れるという。花が好きな妻のために、ある日の午前中にこの庭園を訪れる。

「ローズ・ガーデン」の門(写真66)をくぐると、そこはバラの王宮である。「赤いバラと庭園」(写真67)、「白いバラと庭園」(写真68)……。花の好きな妻は大感激、大興奮!!!「ねえ、ねえ、写真とって〜」。私も夢中になってカメラのシャッターを押す。

ローズ・ガーデン(写真69)には周回するのに手頃な池があり水鳥が浮かんでいる。ブラック・スワン(写真70)の恋の戯れ?ローズ・ガーデンに大満足した後、公園内のカフェテリア(写真71)でティータイムにする。

この日の午後は「大英博物館」に行く。大英博物館の前(写真72)はいつも人だかりである。入館料は無料なので気楽に入れる。まずは1番人気の「ロゼッタ・ストーン」(写真73)の前に立つ。エジプト象形文字解読の手がかりになった石である。もちろん本物!

ロゼッタ・ストーンには3種類の紀元前の文字で書かれており、最後の文字は当時解読可能だった古代ギリシャ語であった。3種類の文字で同じ内容が書かれていると推測し、最終的にジャン=フランソワ・シャンポリオンによってエジプト象形文字が解読された。

ロゼッタ・ストーンの横を見ると、美しくもハンサムな「ラムセス2世の巨像」の上部(写真74)が展示されている。第19王朝のファラオ「ラムセス2世の像」をイギリスはエジプト・ルクソールの神殿から切り取って持ってきてしまった。ルクソール神殿については、以下の私の旅行記「エジプト世界遺産紀行A(ルクソール〜アスワン)」参照。
http://4travel.jp/traveler/funasan/album/10433027/

カルナック神殿の聖なる池の前にあった「フンコロガシ」の本物(写真75)もここに運び込まれている。大英帝国は世界中から貴重な物品を発掘・調査し、それらを持ち帰って(奪って)大英博物館に展示している。入場料無料は罪の懺悔(ざんげ)か?

しかし、エジプト旅行をしてみると現代のエジプトがいかに古代エジプトの遺産を観光資源として利用しているのか分かる。そして、古代エジプトの遺跡を調査・発掘してその価値を人類に示したのはエジプト人ではなく、ヨーロッパの人々であった。ヨーロッパ人が古代エジプトの遺跡を発掘するまで、エジプト人はピラミッドの価値が分からず、ピラミッドを解体して、その石でダムを作ろう、という話もあったという。お互い様か?

保存状態のいい「テーベの第18王朝の官使、ネバムンの墓所の壁画からの場面」(写真76)をじっくり鑑賞した後、古代メソポタミアに行く。入り口では人頭有翼の巨大なウシの像(写真77)が出迎えてくれる。ここではアッシリア宮殿の浮き彫り彫刻が見事である。狩猟(写真78)や戦争など王の偉業を示す浮き彫りが宮殿の城壁に施されていた。(それらをはがして持ってきた)紀元前645年頃制作の王のライオン狩りの図(写真79)も保存状態が非常によく、狩の連続シーンが元の状態で見られる。

次に古代ギリシャに行く。大英博物館1階左翼には古代ギリシャ・ローマの展示室が多数ある。なかでも、一番奥まった所に、一番広い「パルテノン神殿」の部屋がある。19世紀初期にエルギン卿によって英国へ運ばれたパルテノン神殿の彫刻群(写真80)が展示されている。

パルテノン神殿はアテネの守護神アテーナに捧げられた古代アテネで最も重要な神殿であった。しかも、パルテノン神殿はアテネ市街からは丸見えの丘「アクロポリス」の上に堂々と建っている。古代ギリシャの価値が分かってきている19世紀にもなって、パルテノン神殿の彫刻群(写真81)を根こそぎ持ってくるなんて大問題だと私は思う。現在、ギリシャとの間で返還問題で揺れている。

私は2008年の夏、パルテノン神殿の前に立ち、言葉には表せない感動を覚えた。イギリスはパルテノン神殿の彫刻群を返還するか、もしくは高額のレンタル料を払うべきであろう。パルテノン神殿については、以下の私の旅行記「ギリシャ世界遺産紀行(パルテノン神殿)」参照。
http://4travel.jp/traveler/funasan/album/10272900/

次に、上階にある古代エジプトの部屋に行く。ルーム62〜63ではエジプト人の死と死後の世界が展示されている。「死者の書」(写真82)の前に立つ。死者の書とは、古代エジプトで死者とともに埋葬されたパピルスの巻き物である。死者の霊魂が肉体を離れてから冥府の国に入るまでの過程を描いたもので「心臓を天秤にかける死者の裁判の章」(写真83)は有名。

古代エジプトの最後はミイラとご対面する。黄金の装飾がされているミイラの棺(写真84)、そして、本物のミイラ(写真85)。紀元前3100年頃に埋葬された「ジンジャー」という赤毛のミイラ(写真86)等、しっかり勉強して大英博物館を出る。

大英博物館正面に見事なビル(写真87)が建っている。日本では見慣れない建築についカメラを向けてしまう。大英博物館前の道を「トッテンハイム・コート・ロード駅」方面に歩いて行く。途中、お洒落なレストラン(写真88)を見つける。道路に面した歩道をレストランにしてしまう文化は日本には存在しない。初夏のロンドンは湿気がなく涼しく快適で街歩き自体が楽しい。

 
     
D オペラ・コンサート鑑賞
  6月30日の夕方、ホテルに帰りドレスアップして再びロンドンの街に繰り出す。今夜はロンドン・ロイヤル・オペラ劇場に行きモーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』を鑑賞するのである。インターネットで座席を予約してあるので、当日、劇場でチケットを受け取ればいい。時間に余裕を持って出かける。

地下鉄「コヴェント・ガーデン」で下車し、オペラハウスに向かう。花の飾りが綺麗なパブ(写真89)ではビールを片手に皆さん談笑している。コヴェント・ガーデン(写真90)には多くの人が集まりカフェでの飲食を楽しんでいる。コヴェント・ガーデンの横に「ロンドン・ロイヤル・オペラハウス」(写真91)がある。ボックス・オフィスに直行し予約確認書を見せてチケットをもらう。そして、いざ入場!

残念ながらロンドンのオペラハウスはウィーンやパリのオペラハウスと較べると豪華さに欠ける。やや失望‥‥。まずは自分の座席を確認する。我々の席は「Amphitheatre Right B77、B76」天井桟敷(写真92)の2列目にあり悪くはない。料金は1人約4400円。この値段で本場ロンドンのオペラを鑑賞できるので格安である。

座席を確認していから劇場内を見学する。巨大なホール(写真93)はカフェ・レストランになっている。また、コヴェント・ガーデン(写真94)を見渡せる長い通路側にもレストランがあり、多くの人がオペラの前のカクテル・ディナータイムを楽しんでいる。

お客が続々と座席(写真95)に座り劇場内はほぼ満席となる。そして、軽快なフィガロの結婚「序曲」でオペラがはじまる。オーケストラの人数が思ったより少ない。フィガロの結婚はラブ・コメディーなので結構楽しめる。ただし、原語上演・英語字幕なので事前に予習してストーリーを頭に入れておく必要がある。オーケストラの音楽もオペラ歌手達の歌も素晴らしく、十分オペラ(写真96)を楽しめた。ウィーンのオペラハウスについては、下記の私の旅行記参照。
http://4travel.jp/traveler/funasan/album/10399117/

翌7月1日の夜は、地下鉄バービカン駅で降りてバービカン・センターへ行く。今夜はロンドン交響楽団(写真97)の演奏会を聞くのである。バービカン・センターは巨大なビルの複合体で演奏会場のバービカン・ホールを探すのに苦労した。早めにホテルを出発して大正解であった。

我々の座席はA32とA33、最上階の最前列、ほぼ中央の席(写真98)で非常にいい席である。チケット代金はインターネット予約で、1人約2000円、まさに格安のロンドン交響楽団演奏会である。

指揮者は若手のホープ「ダニエル・ハーディング」。今夜は大曲2曲で、第1曲目はブルッフの『ヴァイオリン協奏曲第1番』。ヴァイオリニストは「Renaud Capucon」で、素晴らしい演奏に感動する。

休憩時間になったので、バービカン・ホールのカフェ・バー(写真99)でコーヒーを買ってホールから出てみると広い池(写真100)に出た。池の周りは広場になっており絶好の休憩場所である。夏のロンドンの日暮れは遅い。夜8時を過ぎても十分明るい。

メイン曲はブルックナー『交響曲第7番』。1時間を超える大曲であるが、圧倒的な迫力のオーケストラとハーディングの情熱的な指揮に妻も私も感激した。

 
     
E 一般情報
  ◎ウェストミンスター寺院のホームページ(日本語版)
http://www.westminster-abbey.org/visit-us/language/japanese/welcome-to-westminster-abbey
◎バッキンガム宮殿案内(日本語)
http://www.royalcollection.org.uk/default.asp?action=article&ID=439#prices
◎ロンドン塔のホームページ(英語版)
http://www.hrp.org.uk/toweroflondon/
◎大英博物館のホームページ(日本語版)
http://www.britishmuseum.org/visiting.aspx?lang=ja

【オペラ・コンサートのチケット予約】
◎ロンドン・ロイヤル・オペラハウス(英語版)
http://www.roh.org.uk/
◎バービカン・センター(英語版)
http://www.barbican.org.uk/
◎指揮者「ダニエル・ハーディング」のホームページ(英語版)
http://www.danielharding.com/

                                        (2011年1月 掲載)