@ ドーン・プリンセス号乗船  
     
A 朝食は海を見ながらバルコニーで…  
     
B カボ・サン・ルーカス  
     
C マサトラン  
     
D メインダイニングでフルコースディナー  
     
E プエルト・バジャルタ  
     
F 洋上のクルージング  
     
G 旅人との出会い  
     
H 一般情報  
     
     
@ ドーン・プリンセス号乗船
  2008年2月、メキシコ(コスメル)滞在の後、私はアメリカ・サンディエゴ発「ドーン・プリンセス号」に乗船し、7泊8日のメキシカンリビエラ・クルーズを楽しんできた。




   クルーズ日程(2008年2月)
   2/17(日)  PM4:00 サンディエゴ出航
   2/18(月)  洋上のクルージング
   2/19(火)  AM8:00 カボサンルーカス着 PM6:00 出航
   2/20(水)  AM7:00 マサトラン着 PM5:00 出航
   2/21(木)  AM8:00 プエルトバジャルタ着 PM10:00 出航
   2/22(金)  洋上のクルージング
   2/23(土)  洋上のクルージング
   2/24(日)  AM7:00 サンディエゴ着
   

2月17日午前10:30サンディエゴ空港着。タクシーで10分くらいでクルーズ・ターミナルに到着。空港から港まで近いのでありがたい。早めにチェックインを済ませ、早くも11:30頃乗船する。

ドーン・プリンセス号は1997年の就航で、プリンセス・クルーズの中では古くて小さい客船である。クルーズ代金が安い理由の1つかもしれない。それでも、総トン数77000トン、乗客定員1950人、乗組員数900人、全長257m、全幅32mの堂々とした豪華客船(写真1)である。

ドーン・プリンセス号入り口でバイオリン(ウクライナ人)とアコーディオン(ロシア人)の生演奏(写真2)で出迎えられる。バイオリンの好きな私にとっては、何よりのウエルカム・ミュージックで嬉しくなる。入り口は5階のプラザデッキにあり、この階にフロント・アトリアムロビー・ラウンジがある。ロビーから見上げると4層吹き抜けの大階段とエレベーターが壮観(写真3)である。しばらく見上げる。このエレベーターは5階から8階まで続いており、この周囲に、ショップ、ラウンジ、メインダイニング、カジノ等が集中しており、最も華やかな場所である。

まずは部屋に直行する。私の部屋は11階アロハデッキのA344。上層階前方のバルコニー客室である。アロハデッキの廊下(写真4)を通っていよいよ部屋に入る。この瞬間がたまらない。小綺麗な部屋(写真5)にとりあえず合格サイン。部屋の広さは約17u(バルコニーを含む)あり、都会のビジネスホテル程度だろうか、1人で使用するのにちょうどいい広さである。小さくまとまっているシャワールーム(写真6)(バスタブなし)。アメニティーはすべて揃っており、いつでも熱いシャワーが浴びれる。客室の大きな窓を開けてバルコニーに出てみると目の前にサンディエゴ港の風景(写真7)が見える。この部屋で7泊も過ごせると思うと喜びが込み上げてくる。

今日は快晴、太陽がまぶしい。出港の日に天気がいいと気分が一層盛り上がる。さっそく展望デッキに上がって、サンディエゴの海岸線(写真8)を眺める。ヨットが無数に停泊していて美しい。サンディエゴは実に美しい街である。クルーズの母港としてふさわしい。実は、サンディエゴはアメリカの重要な軍港で、停泊中のドーン・プリンセスの横に巨大な空母「ミッドウエイ(本物)」がいる。最初はびっくりしたが、この空母は現在ミュージアムになっている。クルーズシップ・ターミナルはサンディエゴの中心にあり、展望デッキからはサンディエゴの高層ビル群(写真9)が見える。

午後4時、いよいよ出航。ドーンプリンセスは静かに港から離れていく。多くの客が展望デッキに群がり、出航シーン(写真10)を楽しんでいる。2人寄り添って出航シーンを眺めている老夫婦(写真11)の後ろ姿を見ていると、彼らの幸せな人生が想像される。ゆっくりではあるが、客船は港からとんどん遠ざかっていく(写真12)。感動している自分がデッキにいる。

私は今まで3回海外クルーズを体験したが、今回はグレードアップして憧れの「バルコニー客室」にしてみた。参考までに、私の払ったクルーズ代金は$1533(約17万円、1$=110円換算)。特筆すべきは、私は1人で乗船したので、これだけの経費がかかったが、2人で参加すれば上記の半額(1人9万円程度)でバルコニー客室に乗れることである。(これに予約手数料、船上チップ代等が加算。クルーズ代金は変動制)

この価格がいかにお値打ちかは、日本人に絶大な人気を誇る『飛鳥U』の7泊8日クルーズ代金と比較してみるとよく分かる。以下、郵船クルーズ社のホームページより抜粋してみた。1人50万円弱、夫婦2人でバルコニー客室に乗ると100万円近くかかる。

●飛鳥Uによる秋の日本一周・ウラジオストッククルーズ
  Cコース/2008年8月31日(日)神戸発9月07日(日)伏木着
  07泊08日  旅行代金(1室2名利用の1人代金)
          Eバルコニー:483000円

世の中、探せばお値打ちなクルーズはいっぱいある。特に、アメリカ発、シーズンオフのクルーズは激安である。お世話になった旅行会社は『PLEASURE TRAVEL』、ロサンゼルスにオフィスを構えるクルーズ専門の会社で、現地アメリカ価格でクルーズに乗れる。日本人社員による日本語対応も可能なので安心して予約・問い合わせ等が出来る。私はクルーズのみの手配をこの旅行社にお願いした。

ただし、海外発の格安クルーズを見つけて、クルーズのみを手配すれば「安くて豪華なクルーズの旅」が実現できるが、決して簡単ではない。航空券の予約からはじめて、クルーズの前泊・後泊のホテル予約、空港からホテルやクルーズターミナルまでの移動、クルーズのチェックイン、さらに船内の過ごし方まで、全て自分でしなければならない。見知らぬ外国の地では様子が分からずトラブルも発生しやすい。値段が安いぶん時間のロスや苦労が多いことを付記しておく。「海外の苦労も楽しみのうち」と思えるワイルドな旅人は是非挑戦を!

 
     
A 朝食は海を見ながらバルコニーで…
 

目覚めの朝、客室のカーテンを開けると青い海(写真13)が見える。これはいい。インサイド客室とは天地の差がある。早速、バルコニーに出て、大海原を見る。しかし寒い。今日は2月18日、メキシコに近づいているが、冬の朝である。残念ながらすぐ部屋にもどる。

今日はどこにも寄港せず、カリフォルニア半島沖の洋上をひたすら南下する。客船の先頭(写真14)には出られないので映画『タイタニック』のジャックの真似はできない。救命ボートが設置されている8階のドルフィン・デッキ(写真15)を散歩する。海が近く船旅の旅情が感じられるいい場所である。私は一日に何度もここに足を運んだが、意外と人が少ない。

客船の内部は色々な絵画や花、その他、芸術作品で飾られている。それらを見てまわるだけでも楽しい。「ヴィスタ・ラウンジ」の前にある見事な壁画(写真16)、階段の踊り場の壁一面に描かれた絵(写真17)、船内には本格的な画廊(写真18)もあり、沢山の絵が展示されている。絵画のオークションが開催され、多くのゲストが参加する。コック達が短時間で見事な作品を創り上げていくフルーツ・カービング(写真19)もおもしろい。フルーツ・カービングの完成品(写真20)。お見事!

「豪華客船のバルコニーで大海原を見ながら食事をする」これが、私のやってみたかったことである。天気が良く、暖かくなってきたので、朝食のかわりに昼食をバルコニーでとることにした。通常、私は高級ホテルのルームサービスはしない。メニューの代金を見ただけでビビッてしまい、盛り上がった気持ちがなえてしまうのである。しかし、クルーズにおいてはルームサービスもアルコールを除いて無料(代金込み)なので気楽に注文できる。英会話の実践練習にもなるのでびびらずトライしてみよう。客室のルームサービスメニューから適当に料理を選んで電話で注文する。

ランチメニューから「グリーンサラダ盛り合わせ」「コンソメスープ」「ベジタブルサンドイッチ、フレンチフライ添え」「チョコレートケーキ」「ディカフェインコーヒー」(写真21)を注文。揚げたてのフレンチフライが実にうまい。サンドイッチもGood。高級ホテルのルームサービスと全く同じレベルの味と盛りつけに満足する。

昼食後は展望デッキへ上がり自分のお気に入りの場所を探しに行く。見晴らしのいい展望デッキのバー(写真22)のテーブル席に座り、何もしない洋上のクルーズ風景(写真23)を眺める。海が青い。ドーン・プリンセス号はカリフォルニア半島に沿って、どんどん南下していくので次第に暖かくなる。私の好きな船の最後尾のデッキ(写真24)。この下にスパ・フィットネスクラブがある。

食べて寝てばかりいては体重増加は果てしない。私にとって豪華客船のフィットネスクラブ(写真25)は不可欠な施設である。毎日、夕方の5時頃にはフィットネスクラブに行き、軽く汗を流す。マシンもやることも日本のクラブと同じであるが、気分がまるで違う。ここでトレーニングしていると何故か力が沸き上がってくる。10歳くらいは若返ったような気になるから不思議である。

そのうち太陽が西に傾き空が赤く染まってくる。そして太平洋の彼方に太陽が沈んでいく。メキシコの日没、日本の夜明け。クルーズ2日目の終了。

 
     
B カボ・サン・ルーカス
 

寝ている間に次の寄港地まで運んでくれるクルーズは効率がいい。2月19日午前6時起床、今日は最初の寄港地だ。心が騒ぐ。まだ、夜明け前だが部屋でじっとしておれない。ジャンバーを着込んでデッキ14のホライズンコートへ行き、熱々のコーヒーをカップに注いで展望デッキに出る。天気は晴れ、カリフォルニア半島のシルエット(写真26)が目の前に見える。寒さを我慢しながら夜明けを待つ。

カリフォルニア半島最南端ロス・カボスの東から鮮やかな太陽(写真27)が昇る。あっという間に日が昇り、ドーン・プリンセス号はカボ・サン・ルーカス沖(写真28)に来る。早朝の静かなひととき、無言でカボ・サン・ルーカスの奇岩群を眺める熟年夫婦(写真29)がいる。離婚の多い昨今、定年退職の記念に夫婦で豪華客船クルーズの旅に出るか、妻から突然「退職離婚」を突きつけられるか、天地の差がある。第二の人生を豊かに過ごすために夫婦仲良く付き合いたいもの、くれぐれも奥さんを大切に!

船は奇岩群を回り込んで、カボ・サン・ルーカス湾に入る。行き先には白いビーチと巨大なホテル群(写真30)が見える。これはかなり凄いビーチリゾートの予感がする。カボ・サン・ルーカスを眺める若いカップル(写真31)がいる。若くして豪華客船の楽しみを知るのはいいことか?悪いことか?しかし、この質問はもはやアメリカでは意味がない。近年のアメリカではクルーズは庶民の娯楽になり、若者もファミリーも大挙して乗船する。(高額クルーズは別にして)クルーズの大衆化がアメリカのトレンドである。クルーズ会社は空室を避けるために格安料金を提供する。クルーズで知り合った人達と話をしていて、インサイドであれば$400程度(特別なプロモーション価格)で乗れることも知った。7泊8日、食べ放題のクルーズで5万円程度。これなら若者でも乗れる。

今日は半日観光ツアー『Land's end boat tour/Scenic drive』($39)に参加する。まず、カボ・サン・ルーカス港から専用の観光船(英語ガイドあり)に乗って「ランズエンド」、つまり地の果ての奇岩群周辺に行く。いきなりアモーレビーチ(写真32)の美しさに感動する。アモーレビーチの南北は巨大な岩山に挟まれ、東西は海(東はコステル海、西は太平洋)に囲まれている。この隔絶された白いビーチは恋人達の秘密の場所である。そして、本日のハイライトがエルアルコ(写真33)、波の自然侵食によって作られたアーチ型の奇岩の造形美が素晴らしい。エルアルコめがけてカヤックツアーの一行が次々にやってくる。このトンネルをカヤックでくぐったら楽しいだろうな……。

本日のもう1つのハイライトが「ホエールウオッチング」である。毎年1〜3月にかけてグレーホエール(Gray Whale)がカボサンルーカス沖に回遊してくる。グレーホエールは何とアラスカ沖から約24000kmも南下してくるという。そして、この周辺の海で子を産む。私は時々、鯨の姿を見かけた。船長が鯨を見つけると、船上でアナウンスがあり船は猛スピードで鯨を追いかけてゆく。しかし、このツアーはホエールウオッチング・ツアーではないので、これは船長の単なるサービス。鯨は一端、海に潜るとなかなか浮上してこない。カメラを構え一瞬の鯨の潮吹き(写真34)を撮す。

メキシコは太陽の国である。冬でも強烈な太陽光線が降り注ぎ、海がキラキラと輝く。最果ての地の最後の岩の上、ランズエンドロック(写真35)で休んでいるのはシーライオン(トド)。遠くを見れば帆船(写真36)がゆっくり航行し、振り返れば我が家のドーンプリンセス号(写真37)が見える。全てが輝いており、全員がバカンスを楽しんでいる。こういう場所に来てみるとアメリカ人の遊びの凄さに感動さえする。アメリカ資本が入ってこなければ、ここは単なるメキシコの寂しい漁村に過ぎない。何という変貌!

ボートツアーの後は小型バン(タクシー)に乗って海岸道路を15分くらいドライブし、丘の上に建つホテルに行く。ホテルはカボ・サン・ルーカス湾全体を見下ろす絶景の場所(写真38)にある。ここで40分くらい休憩(1ドリンク付き)する。ホテルは急峻な崖の上にあり、見晴らしは抜群(写真39)である。全く凄い眺めなので、とりあえず記念撮影(写真40)をする。

ツアーが終了し、昼頃、港(写真41)に帰ってくる。ここでしばらく遊んでいってもいいのであるが、お腹が減ってきたので客船に帰ることにした。船に帰れば飲み食い自由(無料)だ。部屋にもどり熱いシャワーを浴び、バスローブを着てベッドに寝転がる。何という爽快さ、何という快適さ……。しかも、客室のバルコニーに立てばボートツアーで訪れた奇岩群(写真42)が見える。

客室からの眺めが余りにも素晴らしいので、昼食はルームサービスにし、バルコニーでランチを取ることにする。「シーザーサラダ」「本日のスープ」「デイリィースペシャルピザ」を注文(写真43)。サラダの上に蒸したチキンがのっておりヘルシーでうまい。ピザは特大サイズ。うまかったが半分以上残す。そして、本日のデザートは「プリン」(写真44)。最後に定番の「ディカフェインコーヒー」。暖かいので周りの風景を楽しみながらバルコニーでゆっくり食事をした。

最初、私が旅行会社『PLEASURE TRAVEL』にクルーズ代金を問い合わせたら、インサイド($499〜)アウトサイド($599〜)バルコニー($799〜)という回答だった。(客室を2人で利用した場合の1人の代金)。インサイドとバルコニーの値段の差(1人当たり)が$300(約3万円)。7泊も宿泊してこの差なので、今回は奮発してバルコニー客室にしてみたのである。大正解だった。値段の差以上に満足感がある。

昼食後は展望デッキに出て、周りの風景を見たり、知り合ったゲストとおしゃべりをしたり、と気楽に過ごす。近くにもう一隻の豪華客船(写真45)が停泊している。日がだんだん西に傾いてくると周りの風景(写真46)もあかね色に変わってくる。空は明るいにもかかわらず満月(写真47)が見える。そして、午後6時、ドーンプリンセス号はカボ・サン・ルーカスを出航し次の寄港地(マサトラン)に向かう。クルーズ3日目の終了。

 
     
C マサトラン
 

メキシコのマサトランは近くに金や銀の鉱山があり、古くから商港都市として発展、市内に貴金属のショップがやたらと多い。近年では、海岸沿いにリゾートホテルが建ち並び、観光都市にもなっている。

朝6時、起床。バルコニーに出てみると、いきなり豪華客船(写真48)が目の前を通っていく。夢中でカメラのシャッターを押す。相手は「ゴールデン・プリンセス」、同じ船会社なので急に親しみを感じ、思わずバルコニーから手を振る。マサトラン港に停泊中のゴールデン・プリンセスの横を通過し、ドーン・プリンセスはこの先でUターンして港に接岸する。

ドーン・プリンセスの難点はビュッフェレストラン「ホライズンコート」がいつも込み合っていることである。朝7時、朝食を食べに行く。この時間帯なら空いている。ホライズン・コートはデッキ14階の両側にまたがり、窓側の席(写真49)に座れば見晴らしがいい。かなり広いが、客も多い。乗客定員1950名、今回のクルーズは満室である。

朝食メニューはあまり多くない。しかし、毎日、食べ放題なので、カウンターからうまそうな料理を少量ずつピックアップする。私の朝食(写真50)の一部。朝食後は部屋に帰り、シャワーを浴びて再びベッドへ。ツアー開始の時間まで音楽を聴きながらうとうとする。この、のんびりした時間がとてもいい。

午前9時、本日のツアー「The best of Mazatlan」($64)開始。大型バスに乗って、海岸線を走り、ビューポイントで下車。沖合の白い岩(写真51)を眺める。次に、マサトランのオールドタウンにある大聖堂(写真52)を見学、内部にある青い天井(写真53)が誠に美しく印象的である。

次に、マサトランの海岸線に沿ったゴールデンゾーン(写真54)で1時間ほどのショッピング。宝石店がやたらと多い。同じ地区にある屋外劇場でメキシコの民族舞踊(写真55)と「Papantla Flyers」のパフォーマンス(写真56)を見る。

パフォーマンスを見た後は再び大型バスに乗り、ビーチに面したリゾートホテル「プラヤ・マサトラン」(写真57)へ行く。ホテルのレストランで昼食(ツアー代金に含む)をとり、その後、自由行動。ビーチタオルやチェアーはホテルで貸してくれるので、食後、ゆっくりマサトランのビーチ(写真58)を楽しめる。

しかし、大誤算だった。太陽が出てても寒い。海水は冷た過ぎてとても泳げない。事実、誰も泳いでいない。私は海で泳ぐつもりで「短パンとTシャツ、サンダル」姿でツアーに参加したのであるが、薄着では寒い。長袖、長ズボンが必要である。メキシコのカリブ海側(カンクン)と太平洋側(マサトラン)では同じ緯度にあっても海水の温度がまるで違うようである。私は泳ぐ元気も、このビーチでゆっくりする気持ちもなくなり、食後、すぐ船に帰ってしまった。

もっと暖かい時期に来るか、完全防備して来るか、特に中高年には寒さ対策が必要である。当たり前であるがビーチリゾートは冬場はシーズンオフ、2月のメキシカンリビエラクルーズが安い理由の1つかもしれない。我が家のドーン・プリンセス号(写真59)に帰ってくるとホッとする。早速、客室で熱いシャワーを浴び、冷えた体を温める。その後、バスローブにくるまりベッドへ。しばし、お昼寝タイムをとる。1時間ほど熟睡!

夕方5時、ドーンプリンセスはマサトランを出航する。寄港地からだんだん遠ざかっていく出航シーン(写真60)はいつ見ても素晴らしい。豪華客船の速度は遅いようであるが、見る間に岸から離れていく。

5時半頃から空がピンクになりはじめ夕陽の輝きが増す。そして、あっと言う間の日没(写真61)。日が落ちると同時に満月が現れた。薄れゆくあかね色の空に白い満月が上がり、鏡のような静かな海にたった1隻のヨット(写真62)が浮かぶ。なんだか不思議な光景である。そして、夜は更けていく。誰もいない夜のデッキ(写真63)を散歩する。部屋に帰り熱いシャワーを浴びてバルコニーに出る。見上げれば満月(写真64)、海面に映る月の光が揺れている。風もなく揺れもない。ドーンプリンセスは静かに南下する。クルーズ4日目の終了。

 
     
D メインダイニングでフルコースディナー
 

ドーン・プリンセスのメインダイニングルーム「ベネチィアン(写真65)」では本格的なコース料理が味わえる。アルコール等一部飲み物を除いて料理は何を注文しても無料(クルーズ代金込み)なので気楽に豪華なコース料理が楽しめる。しかも、朝食、昼食、夕食共にオープンしているので、グルメ派にはたまらないであろう。

ダイニングルーム以外でも夕食が可能である。デッキ14の気楽なビュッフェレストラン「ホライズンコート(写真66)」、本格的なステーキが味わえる「バルコニー・グリル(写真67)」、焼きたてのピザが食べられるレストラン「ラ・スカラ・ピッツェリア(写真68)」等もある。もちろん、夕食をルームサービスにして、恋人と2人きりのバルコニーディナーも可能である。

7泊8日のクルーズでは通常「フォーマル・ディナー」が2回、「スマート・カジュアル・ディナー」が5回ある。フォーマルの日は少し緊張する。私もダークスーツを着て、レストランへの大階段を下り、「タイタニック」の世界(写真69)に入る。あなたも私も全員が主役になれる。大いに映画スターの雰囲気を楽しもう。

さて、問題のディナーであるが…

ウエイターに案内されて指定されたテーブルに行くと、そこには紳士淑女が待っている……。緊張の一瞬!簡単に挨拶をして席に着く。すぐにウエイターが注文を取りにくる。ウエイターから本日のおすすめ料理の説明があり、分厚いメニューを渡される。

しかし、日本語メニューがないので、私には料理の中身がよく分からない。隣りのゲストやウエイターに聞くこともあるが、聞いても分からないほうが多い。とりあえずドリンクメニューからノンアルコールビール(有料)を注文する。そして、オードブル(写真70)、スープ(写真71)、サラダと適当に注文し、最後にメイン料理(写真72)を選択してオーダーが無事終了する。どんな料理が出てくるのか、出てきてのお楽しみである。食事の終わり頃にデザート(写真73)とコーヒー等の注文がある。

ある夜のメイン料理に「ロブスター」があった。非常においしかったので、追加でもう1皿のロブスターを注文し、全部たいらげた。とても満足。実はメイン料理を追加注文しても、また、2種類のメイン料理を注文してもOKという太っ腹である。この調子で食べていたら、こっちの腹もどんどん太ってくる。さらに、頼みもしないのにウエイターがメイン料理やデザート(写真74)を差し入れして、お客を喜ばせる。

さて、見知らぬ紳士・淑女を前にして、びびらずに英会話を楽しめるか?ここが問題だ……。

1人で外国船に乗ると、ディナーは英会話の真剣勝負の場になる。相手は英会話の先生ではなくクルーズを楽しみにきた普通の人々なので、こちらの英語が貧弱でも配慮をしてくれない。神経を研ぎ澄ませて会話についていかねば、すぐ孤立する。これが結構苦しい。正直、逃げ出したくなる時もある。しかし、そこを我慢して、積極的に発言し、毎晩、同じ人達と食事をしていると、だんだん会話に慣れてくる。また、お互いに親しくなり個人的な話題も多くなる。この変化がおもしろい。結局、最終日まで同席した。

私のテーブルはアメリカ人夫婦「ジム&リー」、カナダ人夫婦「アイリーン&バーン」と娘の「クリスティー」そして、日本人の私。
クリスティー(30才くらいの綺麗な娘さん)を除いてリタイヤ組なので共通の話題が多い。カナダ人のファミリーはRCI加盟リゾートクラブのメンバーで、今回のクルーズに乗る前にサンディエゴに何と4週間滞在(RCI交換利用、手数料1週間$150のみ)したという。冬のサンディエゴ(アメリカ)、夏のウイスラー(カナダ)はシーズンオフで簡単にRCI交換ができることも教えてもらった。

ディナーの会話でおもしろい話を聞いた。「プリンセス・クルーズ」に住んでいる人がいるそうだ。しかも、それ程、金持ちでもないらしい。私は早速、計算してみた。

もし、インサイドで格安料金なら、$400×2人×4週間=$3200(約32万円)この金額で夫婦2人で1ヶ月間豪華客船に住める。
日本の年金+αの代金で豪華客船に住める。狭いながらも綺麗な客室に寝泊まりし、24時間食べ放題、エンターテイメント、各種セミナー付き、おまけに船内は無料の語学学校(英会話、スペイン語会話等)なので実質的に「船内留学」である。目からうろこの超裏技!

船会社と長期契約すればもっと安くなるかもしれない。最近のドル安・円高を利用して、もし、1000万円で米ドルを買い(約10万ドル)、4%の米国債で運用すれば年間4000ドルの利息が入る。これを使えば、1年間の利息で、1ヶ月間も夫婦で豪華客船に乗れる。豪華客船に毎年「船内留学」に出かけられる。しかも無料で。

いっそのこと、家・土地全て売却して、全財産をドルに換えて、プリンセスに住むか?住所不定、無職、ただし、現住所:洋上のプリンセス・クルーズ。そして、小説を書く。
「私はフリーター、プリンセス・クルーズで世界の海を駆ける」

このように私の夢想は限りなく広がる。

食後はインターネット・カフェに行く。日本のインターネットカフェと比べれば驚くほど高い(4.5時間で$100)が、24時間インターネットができるので、私はよくここに来てマーケット情報をチェックした。クルーズ中、試しに、日本株を1つ買ってみた。

太平洋上を航行する豪華客船の中で日本株の売買ができるとは驚きである。投資が成功すれば、クルーズを楽しみながら、クルーズ代金をネットで稼ぐ、という「夢みたいな話」が実現する。しかし、現実は厳しい。クルーズの南下と共に、買った株はどんどん下落していった。(失敗)

 
     
E プエルト・バジャルタ
 

2月21日午前8時、ドーン・プリンセスはメキシコ(プエルト・バジャルタ)に到着。プエルト・バジャルタは40kmもの長大なバンデラ・ベイに面し、近年、ビーチリゾートととして急激に発展してきている。

プエルト・バジャルタの朝(写真75)。高い山が近くにそびえ、どことなく信州・松本市から見た北アルプスの風景に似ている。私は若い時、登山に夢中になっていたので今でも山を見ると心が騒ぐ。プエルト・バジャルタはメキシコ西部を南北に貫く「西シエラ・マドレ山脈」の南端に位地する。よって、ビーチリゾートでありながらも、近くの山に入ればジャングル、河川、滝なども楽しめる。

朝食はルームサービスにする。高級ホテルと全く同様に、前夜、朝食メニュー(コンチネンタル・ブレックファーストのみ)から希望の種類を選び、ドアのノブに引っかけておけば、指定した時間帯に持ってきてくれる。オレンジジュース、トマトジュース、ミルク、ヨーグルト、フルーツ盛り合わせ、パン3種、そして、ポットに入った熱々のコーヒー。プエルト・バジャルタの街並を眺めながらの朝食(写真76)は格別である。

午前9時、ツアー「Puerto Vallarta city &coastal drive」($29)に参加、大型バスに乗ってまずは市内観光へ出発する。ビーチに沿って洗練された大型ホテルが建ち並び、ここがメキシコであることを忘れる。外国で美しい風景に出会うと私の心が騒ぐ。カメラ、カメラ、と思っている間にバスは通り過ぎてしまう。

プエルト・バジャルタの一番人気の場所が海辺の遊歩道(マレコン:写真77)であろう。ツアー一行はマレコンでバスを降り、ガイドに引率されて遊歩道を歩く。マレコンには様々な芸術作品(写真78写真79写真80)が作られており、観光客の目を楽しませてくれる。作者や作品の説明がガイドから話されるのであるが、早口の英語でよく分からない。英語ガイドの難点。逆に考えれば、英語リスニングの実践練習になる。1つ1つの作品の背景知識があればもっと楽しめると思うが、作品も風景も素晴らしいのでガイドの話は無視して盛んにカメラのシャッターを押す。

マレコンの南の終点近くに野外劇場(写真81)がある。ステージと床との段差は1m以上あるが防御柵はない。「クルーズの客で、まわりの風景に目をとられていてこの床に落ち大けがをした人がいる」とツアーガイドが話していた。要注意!野外劇場のステージ上にあるアーチのモニュメント(写真82)の先に青い海が見える。夕焼けに染まるプエルト・バジャルタの海を景色に、ここでオペラでも上演したら最高であろう。

ツアー一行は海岸線を後にして、役場や大聖堂(写真83)を見学した後、再びバスに乗って次のビーチへ移動する。急峻な海岸線を30分ばかりドライブする。綺麗なホテルやコンドミニアム、大きな邸宅等があり、目を楽しませてくれる。途中、ビューポイントで下車して休憩。大きな天然石(写真84)が海からそそり立ち、ボートが何隻もやってくる。ここは、ダイビングスポットらしい。

ミスマロヤ・ビーチとホテル「ラ・ホジャ」(写真85)を望む高台でカメラタイム。このビーチは街から遠く離れ、隔絶された雰囲気を持っている。ここは映画『イグアナの夜』のロケ地で今でも有名人達に愛されている場所という。ラ・ホジャの隣りのホテル(写真86)も素晴らしい。紺碧の海に面してガーデンプールやレストランがあり、是非、泊まってみたい。

ツアーを終了し、昼過ぎに客船にもどって来る。停泊中のドーン・プリンセス(写真87)が我が家だと思うとうれしくなる。隣りにもう1隻の豪華客船(ロイヤルカリービアン社)が停泊している。天気は快晴で暖かい。本日の出航は午後10時と遅く、街で遊ぶ時間はたっぷりあるのであるが、私は、ツアーで十分満足した。白いテントの下を通って客船に乗り込む。

バルコニーでの食事が気に入ったので、本日もルームサービス(写真88)にする。シャワーを浴び、バスローブに身を包んでいるうちに、料理が運ばれてくる。グリーンサラダ、ビーフハンバーガー・フレンチフライ添え、チョコレートビスケット、ディカフェインコーヒー。フルーツはオーダーしておくと毎日、午後、客室に届けてくれる。ツアーから帰ってくるとウエルカムフルーツである。

食後、部屋でぐっすり寝込んでしまった。早起きと連日のツアーで少々疲れていたのかもしれない。爆睡に近い。これで元気回復である。展望デッキへ出て、風景を楽しむ。デッキでぶらぶらしていると太陽が西に傾き、まわりの景色が変わってくる。夕陽に染まるプエルト・バジャルタ(写真89)はまるで北アルプスのよう。そして、日没。夕焼けが最も輝いた瞬間(写真90)を撮す。私のベストショットの1つ。さらば、プエルト・バジャルタ、また会う日まで!

今夜も日没と同時に満月が現れた。夜でも寒くない。バルコニーに寝転がって、しばし、満月を鑑賞(写真91)する。しかし、ドーン・プリンセスはここからUターンし、一路、サンディエゴに向かい北上する。クルーズ5日目の終了。

 
     
F 洋上のクルージング
 

プエルト・バジャルタを後にしたドーン・プリンセスはアメリカ(サンディエゴ)目指してひたすら北上する。これから丸2日間、どこにも寄港しない洋上のクルーズである。これもまた楽し!

2月22日、太平洋上の夜明け(写真92)、真っ赤な朝焼けが美しい。私以外に、毎朝1人で朝日が昇るのをじっと見つめている中年男性がいる。コーヒーを片手に…、ひたすら見つめている。話しかけようかと思ったが、何となく近寄りずらい雰囲気だったのでやめた。どこの国でも「孤高を求める寂しい男性」はいるようである。朝日を見てから客室にもどって再び仮眠する。

旅先でぐっすり眠れると嬉しい。しかも、ここは豪華客船の中、カーテンを開ければ大海原(写真93)だ。早速、バルコニーに出て青い海を眺める。風が少し冷たくなってきている。ドーン・プリンセスは1晩でかなり北上したようである。今朝も、ルームサービスの朝食にする。

クランベリージュース、トマトジュース、ミルク、ヨーグルト、カットメロン、半切りオレンジ、パン3種、ポットのコーヒー、それに、昨夜の残りのキューイフルーツとバナナを添えて。サラダがないのが難点であるが、申し分ないコンチネンタル・ブレックファースト(写真94)の出来上がり。パンが暖かい!

朝食後、展望デッキに行く。朝日が海面に反射し、キラキラ輝いている。客が来る前にクルー達(写真95)がデッキを掃除する。毎日、水をまいて綺麗に掃除している。ご苦労様。

洋上のクルーズ風景(写真96)。天気がいいので、海の色が青い。何も考えず、ボヤーと海を見ているだけで幸せを感じる。何という空の青さ、何という海の青さ。

ランチ(写真97)はビュッフェレストランでとることにする。珍しく「寿司コーナー」があったので、試食してみる。日本人基準からすれば「不合格」である。次の日のランチもビュッフェで。少量多品種、いつでも食べれるので腹一杯は食べない。おいしく料理を味わうコツは「食べないこと」にあり。腹が減れば何でもおいしい。

食後は部屋でお昼寝兼リラックスタイム。1つ思わぬ誤算があった。私は今まで3回海外クルーズの経験があり、今回4回目である。(全て1人参加)インサイド客室が2回、アウトサイド客室が1回、そして、今回はバルコニー。徐々にグレードアップしてきた。インサイドの時は、客室は寝るだけと割り切って、1日中船内をうろうろしていた。ラウンジ、バーを巡り、各種セミナーにも参加した。それ故、偶然の出会いも多く、色々な人と知り合いになれた。

しかし、今回はバルコニー客室(写真98)が余りにも快適なので、部屋に閉じこもってしまった。この部屋でBGMを聞きながら読書をし、日記を書く。飽きたらバルコニー(写真99)に出て、どこまでも青い海を眺める。しかし、中高年おじさんが1人で豪華客船に乗って「部屋に引きこもって」は話にならん。少ないロマンス(?)も絶望的…。よって、次回のクルーズは初心にかえって「安くて豪華で出会いが多い」インサイド客室にしよう。

昼寝の後、再びお気に入りのデッキに行く。海が近く白い波が綺麗に見えるドルフィンデッキ(写真100)を散歩し、展望デッキ最後尾のチェアー(写真101)に寝転がる。何もせず紺碧の大海原を眺めているだけで幸せを感じる。洋上のクルージングは実に素晴らしい。

次回のクルーズはひたすら大海原を進む「大西洋横断クルーズ」「太平洋横断クルーズ」にしようか……。クルーズのロマンは限りなく広がる。

 
     
G 旅人との出会い
 


@ 田ノ上建輔さん

クルーズ6日目になっても日本人に出会わない。私は日本語が喋りたくなったので、フロントへ行き「日本人客は乗っていないか?」と聞いてみた。そしたら、日本人客はいないが「ケン」がいるよ、という返事だった。ドーンプ・リンセス号に日本人クルーがいた。名前は田ノ上建輔(写真102)さん。鹿児島県出身、27才のフロントマンである。スタッフから「ケン」「ケン」と呼ばれ親しまれている。

彼はニュージーランド北島にあるカレッジ(ホテルマネージメント専攻)を卒業し、昨年、プリンセスクルーズに就職。ドーン・プリンセス号が彼の初仕事である。ひっきりなしにかかってくる電話に素早く応答し、的確に仕事をこなしていく。もちろん全部英語である。頑張れケンさん!

A セラ・コルジョさん

私のお気に入りの場所が、フロント・ロビー階にあるラウンジ「パティセリ」(写真103)である。私はここで「プレミアム・コーヒー・カード」(約3000円)を購入。このカードでカップチィーノ(写真104)、カフェラテ、エスプレッソ等、プレミアムコーヒーが15杯分注文できる。もっともレギュラーコーヒーとお菓子は無料なので、カードを購入しなくてもこのラウンジで優雅なティータイムが過ごせる。

私は毎日パティセリに通っているいうちに、ウエイターの「セラ・コルジョ(写真105)」さんと親しくなった。彼はウルグアイ出身の32才、元高校の音楽教師で、ドラム、作曲もこなすミュージシャンでもある。母国語はスペイン語であるが、6才の時から公立学校終了後に私立の英語学校に通い、英語とコンピュータをマスターしたという。大学院で修士号を取るための資金稼ぎのためにプリンスに乗船している。将来は大学の先生か有名なミュージシャンになりたいと夢を語る。

私は毎日この席(写真106)に座りプレミア・コーヒーを味わいながら日記を書いた。夕方になると、ラウンジ近くのグランドピアノからピアニストの生演奏がはじまる。甘いデザートを口に頬ばりながら香りのいいコーヒーを味わい、海を眺め、ピアノの音楽に酔う。私のお気に入りのラウンジである。

B カオル・ボイントマンさん

いつものように夕方、フィットネスクラブで日本語のガイドブックを見ながら自転車をこいでいたら、隣の御婦人から声をかけられた。しかも、日本語で……。彼女の名前は「カオル・ボイントマン」。元全日空のスチュワーデスでアメリカ人のボイントマンさんと結婚して現在アメリカのフェニックスで暮らしている。

早速、3人でビュッフェレストランに行き、ティータイム(ケーキ付き)にする。久しぶりの日本語で、時間を忘れてお互いの人生を語り合った。かおるさんから、怖い話を1つ聞いた。

ドーン・プリンセスがカボ・サン・ルーカスを離れる時、30分くらい遅れたが、女性客数名をカボ・サン・ルーカスに残して出航してしまった、という。 「その後、女性達はどうなったのか?」と聞いてみたら、「誰も知らない。恐らく、何かのトラブルに巻き込まれたのではないか?」という返事。Tシャツ、短パン、サンダル履きで、わずかな現金だけを持って、1人、見知らぬ外国の地に取り残されたら…。考えただけでもゾットする。寄港地の遊びはほどほどにして、余裕を持って客船に帰るべし!

C ジニー&ブライアン夫妻

フィットネスクラブに行くと、同じ顔ぶれのゲストに会う。その中で、私はワシントン州在住の中年のアメリカ人夫妻ジニー&ブライアンと親しくなった。彼らは非常にユニークな人生を送っているようだったので、私から誘って彼らと昼食を共にした。

ジニー(妻)は看護師、ブライアン(夫)は医師。夫婦でヨーロッパをサイクリングで回ったり、地元ではスキー、ハイキングをし、メキシコではスキューバダイビングをするという。私と趣味が似ている。アメリカの医者夫妻なのでリッチで、忙しい生活を送っているだろうなと想像しつつ色々質問してみた。

ブライアンはファミリードクターで週2日間しか仕事をしない。後の5日間は休み。何と週休5日制である。ジニーもパートタイムの仕事で、お互いにたっぷりの自由時間を確保して夫婦で遊ぶ。しかし、医者と言えども週2日の仕事では収入が少ない。そのかわり、彼らは家を買わず、安いアパート($500/月)に住み、子供もいない。つまり、支出も少ない。無理して高額なマイホームに飛びついた「サブプライムローン」層とは無縁である。

彼ら自身、非常にまれなアメリカ人と言っている。遊び上手な彼らでさえ、クルーズは2回目で、クルーズがこんなに安いものだとは知らなかったという。アメリカ人医者夫妻でも一番安い「インサイド」客室で寝泊まりしている。彼らから見れば1人でバルコニー客室に乗っている私は、まさにリッチな日本人?

見知らぬ外国の人との偶然の出会い、これも海外クルーズの醍醐味である。

 
     
H 一般情報
 
◎ PLEASURE TRAVEL(プレジャー・トラベル)
http://www.pleasure-travel-usa.com/

ロサンゼルスにオフィスを構えるクルーズ専門の会社で、現地アメリカ価格でクルーズに乗れる。日本人社員による日本語対応も可能なので安心して予約・問い合わせ等が出来る。

◎ プリンセス・クルーズのホームページ
http://www.princess.com/index.html

プリンセス・クルーズ所有の客船、クルーズ日程、料金、寄港地等、非常に詳しい情報が載っている。
QUICK LINKS欄の「Destinations → Mexican Riviera」「Ships→ Dawn Princess」をクリックするとメキシカン・リビエラやドーン・プリンセスの情報が得られる。

◎ ドーン・プリンセス号のホームページ
http://www.princess.com/learn/ships/dp/index.html

ドーン・プリンセス号船内の詳しい情報が載っている。
RELATED INFORMATION欄の「Staterooms Deck Plans」は非常に参考になる。アウトサイド客室でも窓の外に障害物があって期待外れになる部屋もある。また、インサイド客室でも上層階で展望デッキやビュッフェレストランに近く便利な部屋もある。スパやフィットネスクラブに毎日通うつもりなら後方の客室が便利である。このサイトから全客室の場所を確認できるので、クルーズ予約する前にじっくり見てみるといい。

                                        (2008年6月 掲載)