@ インターネットで無料ファーストクラス予約完了  
     
A 中部国際空港発サンフランシスコ行きボーイング777  
     
B さて、待望のファーストクラスの食事は……  
     
C サンフランシスコ発ニューヨーク行きボーイング757-200  
     
D ニューヨーク発サンフランシスコ行きボーイング757-200  
     
E 素晴らしいサンフランシスコのファーストクラスラウンジ  
     
F サンフランシスコ発中部国際空港行きボーイング777  
     
G ファーストクラスを考える  
     
H 一般情報  
     
     
@ インターネットで無料ファーストクラス予約完了
  信じられないような事が起こった。クリック一発、ニューヨークまでのファーストクラス(以下Fクラスと略記)の予約が自宅のインターネットで完了してしまった。しかも、マイル利用の特典予約なので往復無料チケットである。

私はユナイテッド航空のマイレージ・プログラムである「ユナイテッド・マイレージプラス」の熱烈な愛好者である。海外旅行の時は必ずスターアライアンス系の飛行機に乗り、旅行代金を含めて、日常生活のあらゆる支払いを「ユナイテッド・マイレージプラス・JCBカード」でする。これによって、飛行機に乗ってマイルを貯め、カード支払いで消費金額の全てがマイルに貯まるように設定してある。そして、日々小さな努力を積み重ね、数年に1回、大きく使う。

「小さく集めて、大きく使う」これが私のマイル利用法である。私の著書『安くて豪華に旅する方法』の第2章4節の「第2のお金、マイルの世界」に詳しく紹介してあるので興味のある方は参照して頂きたい。

私は2年前に早期退職し、その後、年間3〜4回は海外旅行に出かけるようになった。効率的にマイルを貯めていったので、2007年1月現在、私のマイル残高は15万マイルを超えていた。そろそろでっかく使ってみようかと思い、ユナイテッド航空ホームページの特典旅行予約のサイトで色々調べはじめた。このサイト、実に素晴らしい。

代金を支払う普通のインターネット予約と同じように無料の特典予約もネット上でできてしまうのである。ただし、制限がある。希望の旅行地までに必要な往復のマイル残高があるかどうか?特典予約に割り当てられた空席(これが通常非常に少ない)があるかどうか?である。

特典旅行に必要な日本からアメリカまでのマイル数はエコノミー(6万マイル)ビジネス(9万マイル)ファースト(12万マイル)である。私は当初、無料ビジネスをゲットしようと思って色々調べていたが、ほとんど空席はなかった。

私は新緑の美しい5月に2〜3週間の日程でニューヨークに行きたかった。しかし、そんな「ベストな時期」に無料ビジネスの空席など残っていない。成田発のみならず、中部発、関空発共になし。そこで、本当に冗談のつもりで無料ファーストを調べてみた。「ビジネスがないなら、ファーストなんかあるわけないだろう!」と思っていた。
ところが、びっくり仰天、ファーストの空席が成田も中部も関空もあるのである。

ただし、さすがに成田や関空は残席がごく少なく、私の希望する日程に合わない。ところが、中部発は5月発着の空席が沢山残っていた。そこで私は自分の都合のいい日程を選びその場で予約を入れてしまった。2007年1月下旬のことである。これで、ユナイテッド航空Fクラスで行くニューヨーク3週間の旅が決定した。もう行くしかない。

それにしても、ニューヨークまで往復Fクラスである。熱烈なマイル収集家の俗称にマイラーというのがあるが、マイラーにとって1つの頂点ともなる。参考までに、私が予約した同じ日程でインターネット予約の料金を調べてみたら、エコノミー(約12万円)ビジネス(約55万円)そして、ファーストは何と136万円であった。

Fクラスは高嶺の花、庶民(私を含めて)にとっては不可能な値段である。マイルに頼るしかない。実際に私の支払った代金は税金・手数料等の5530円だけである。136万円が5530円に!これぞ「究極の安くて豪華な旅」である。あなたも一度挑戦してみては?

 
     
A 中部国際空港発サンフランシスコ行きボーイング777(写真1
  2007年5月8日(火)私は昼過ぎには中部空港に着き、Fクラスカウンターでチェックインを済ませてスターアライアンスラウンジ(写真2写真3)に直行した。

中部発のスターアライアンス系国際線は少ないので、ここは共同運営の空港ラウンジである。残念ながら成田のレッドカーペットクラブと較べると規模が小さく豪華さもない。さらに、Fクラス用ラウンジはビジネスラウンジの一部を仕切っただけのお粗末なものである。利用人数が少ないので仕方がないが、豪華なFクラスラウンジに興味のある方は中部発は避けた方がいい。

それでも、このラウンジは国際線滑走路に面した横長の静かなサロンである。コーヒー、紅茶、冷たいソフトドリンク類多数、ビールにワイン、そして、サンドイッチにおにぎり、いなり寿司、カップ麺、チーズとクラッカー、甘いカステラ風菓子、等食材(写真4写真5)が充実している。これからはじまる超豪華な旅を思い描きながら、私は昼下がりのひとときをとても快適に過ごした。

P.M2:20搭乗ゲートに行く。Fクラスのお客から優先搭乗のアナウンス。真っ先に機内(写真6)に乗り込む。私の座席は1A。つまり最前列窓側。実は私はこの席に座ってみたかったので、インターネット予約の時1Aを指定しておいたのである。

左側は窓で右側は通路なので非常にプライベート感覚(写真7)がある。しかし、個室感覚はない。それでも読みたい本やノート類を置く棚が前方にあり、手元にはカクテルやソフトドリンク類を置いてもなお余裕のサイドテーブルスペースがある(写真8写真9)。座席周りには個人用大型の収納スペースがあり、手荷物をここに入れておけば、いちいち立ち上がって頭上の棚から手荷物を出し入れするという手間がはぶける。ノートパソコン用の電源、データ転送用ポートなどのオフィス機能も充実している。

さて、ボーイング777(以下B777と略称)の座席配置は、エコノミー(横2−5−2)の9席、ビジネス(横2−3−2)の7席、そしてファースト(横1−2−1)の4席である。Fクラスはどの席に座っても隣が気にならない「ファースト・スイート」席である。さらに、ファーストの客1人でB777の窓4個を占有している。エコノミーの客1人で窓1個強の狭いスペースであることを考えると、概算であるが、ファースト1人でエコノミー9人のスペースを占有していることになる。ファースト専用機内食や他のサービスの差も考えれば、ファーストの値段が(格安)エコノミーの10倍以上しても無理はないと思う。

今日のフライトのファーストの客は5名のみ。全員が窓側で優雅にくつろいでいる。Fクラス専任のフライトアテンダント(以下FAと略記)は2名。よって、2名のFAで5名の客をもてなすというゆとりである。
 
     
     
B さて、待望のファーストクラスの食事は……
  優先搭乗して座席に座るとすぐにFAが挨拶にきて私のジャケットを預かってくれる。エコノミー常連客にとってこれだけでVIP気分になれる。次にワインかオレンジジュースのウエルカムドリンク。水平飛行になってから待望の夕食がはじまる。

座席から大きなテーブルを引き出し、FAがその上に糊のきいた白いテーブルクロスを敷いてくれる。期待が高まる。酒の飲めない私は、飲み物の注文にとりあえずジンジャエールを頼む。最高級シャンペンでもオーダーしたい気分である。次にディナーコースを紹介しよう。

@前菜
a 温かいクリスピーな海老のポットスティッカー、マイルドなタイ風チリソース
b プロシュートハムと干し柿、サワークリーム、リコッタチーズ、ブルーチーズ、ウオールナッツ、バジルと松の実入りペスト
aかbの選択であるが、私は両方(写真10)もらった。まずまずの味である。

Aスープ
ローストベジタブル入りバーリースープ(写真11
うまい。量も少なく日本人向けに適している。

Bサラダ(写真12
季節の葉野菜、ドレッシング2種より選択
私はロックフォールチーズドレッシングを注文。新鮮なサラダは心と体に良い。

Cメイン(4種類:牛ヒレ肉のステーキ、鶏胸肉のロースト、ポークヒレカツ、幕の内弁当から選択)
私は牛ヒレ肉のステーキ、オランデーズローストトマトソース(写真13)を注文。さらに付け合わせ数種類の中から、「チューダーチーズとポテトのパイ」「さやいんげんと紫たまねぎ」を選ぶ。さすがにFクラスのフィレステーキである。うまい。ほとんど全部食べた。

Dデザート(スターバックのコーヒーと共に)
FAがワゴンに載せて(写真14)デザート類を持ってくる。
a チーズセレクション:ブリー、レッドチェダー、ゴルゴンゾーラ
b 新鮮なフルーツにマンゴークーリ、ヨーグルト
a(写真15)、b(写真16)の選択であるが、私は両方もらった。

E締めくくりは
アイスクリームにサンデートッピング(写真17

酒党の人のために、ユナイテッド航空Fクラスが提供するアルコール類を記しておく。

@シャンペン
ポメリー・グラン・クリュ1998シャンパーニュ
ヴランケン・キュヴェ・ディアマン1996 シャンパーニュ

A白ワイン
ヴァンサン・ドラポルト・サンセール・シャヴィニヨ−ル2004
ブシヤール・ペール・ボーヌ・デュ・シヤトー2004バーガンディ
ベリンジャー・シャルドネ2004ナパ・ヴァレー
ドライ・クリーク・フュメ・ブラン2005ソノマ

B赤ワイン
メゾン・シャンピ・ボーヌ・ヴィエイユ・ヴィニュ2002バーガンディ
ルイ・マルティニ・カベルネ・ソーヴィニヨン2003ソノマ
サン・スペリー・カベルネ・ソーヴィニヨン2002 ナパ・ヴァレー

Cその他
酒(日本酒大吟醸)、アペリティフ、カクテル、スピリッツ、リキュール、ビール

料理は陶器の皿に綺麗に盛りつけされ1品ごとFAが持ってくる。その都度、FAと軽い会話をし、料理を見て楽しみ、写真を撮り、その後ゆっくり味わう。2時間ちかくかけて優雅な雲上のディーナーは終了した。何という贅沢なことか!

食事の後は、個人用スクリーンで映画を見たり、読書や日記を書いたり(写真18)して自由に過ごす。疲れてきたら座席をフラットベッド(写真19)にして体を横にする。ボタン1つで約2mのベッドが出来上がる。大型の枕に頭を沈め、厚手の毛布を肩から足まで掛ければ、そこはベッドルームである。横幅もあるので左右に寝返りも打てる。揺れがなければ飛行機の中とは思えないほど快適である。

うとうとしていると、もう朝食の時間である。メニューは次の2つからの選択。
a ハム、マッシュルーム、チーズ入りスペイン風エッグ
b 新鮮なフルーツの盛り合わせ、クリーミーヨーグルト

私はb(写真20)を注文した。綺麗に盛りつけられた新鮮なフルーツは食べるのに惜しいくらいである。温かくてカリッとしたクロワッサンに驚く。時差の関係で真夜中の朝食なので胃に負担のかからない程度にしておく。

窓を開ければ、雲1つない快晴。サンフランシスコ上空は朝の光に輝いている(写真21写真22)。B777は予定時刻より少し早く、現地時間の朝8時過ぎにサンフランシスコ国際空港に到着した(写真23)。誠に優雅で快適な10時間弱のフライトであった。Fクラスの旅はまだまだ続く。

 
     
C サンフランシスコ発ニューヨーク行きボーイング757-200
  サンフランシスコで入国検査を済ませ、国内線出発ターミナルでセキュリティーチェックを受ける。ニューヨークへの乗り継ぎの時間は3時間くらいあり、時間的には余裕があるが、日本時間の深夜の時間帯なので頭がボーとしている。こんな時、空港ラウンジはありがたい。さっそく、ユナイテッド航空のビジネスラウンジであるレッドカーペットクラブ(写真24)へ行く。

このラウンジの入り口(写真25)は美術館のような気品がある。残念ながらファースト専用のラウンジはここには無かった。セキュリティーチェックを受ける前のトランジットエリア内にファースト専用の到着ラウンジがあり、シャワーや朝食が取れることを知ったが、めんどうなので行くのは止めにした。

ラウンジ内のドリンクコーナー(写真26)やフルーツ、ベーグル、スナック類が置かれている所(写真27)で軽い食べ物と飲み物を調達して、私は時差ボケの頭を解消すべく、ラウンジ内(写真28)の片隅の椅子に深々と腰掛けて仮眠した。

ユナイテッド航空のアメリカ国内線は基本的に2クラス制であり、実質的なファーストクラスはない。しかし、サンフランシスコ、ロサンゼルスとニューヨーク間だけはプレミアムサービスとして3クラス制を取っており、Fクラスが存在する。

私はニューヨーク行きボーイング757-200のFクラスに再び搭乗した。座席配置はエコノミー(横3−3)、ビジネス(横2−2)ファースト(横2ー2)。太平洋路線のFクラスと較べるとかなり見劣りするが、ここのF席も丸窓4個を占有し(写真29)、ボタン1つでフラットベッドが出来上がる。

今日は天気がいい。私の1Aの席からサンフランシスコ上空(写真30)やシエラネバダ山脈(写真31)がよく見える。風景を楽しんでいると、ランチがはじまった。

@ 前菜:スモークサーモン、キュウリのマリネ添え(写真32
A サラダ:季節の葉野菜、イタリアドレッシング(写真33
B メイン:3種類からの選択、
私は魚料理のシーバスの照り焼き、しいたけ、うどん、野菜のマリネ添え(写真34)を注文。
C デザート:3種類からの選択、私はいちご(写真35)を注文。

何しろ、名古屋からのロングフライトの後である。時差ぼけで頭がぼーとしているし、食べてばかりいる。折角のコース料理であるが、軽くたしなむ程度にして早々と睡眠体制をとる。

サンフランシスコからニューヨークまで、全米を横断するのに、5時間半(帰りは6時間半)かかる。ここでベッドを作って寝れるのは本当にありがたい。私は数時間熟睡した。目覚めはニューヨークの夜景である。長い長いニューヨークまでのロングフライトが終わった。


 
D ニューヨーク発サンフランシスコ行きボーイング757-200
  2007年5月29日(火)約3週間のニューヨーク滞在を終え帰路につく。この日はホテル(エアポートホテル)では何も食べず、起きたらすぐケネディ空港に行く。目的は空港ラウンジである。

ケネディ空港のレッドカーペットクラブに入ってみると、F専用ラウンジが併設されていた。嬉しくなる。先に、見学のためビジネス用ラウンジ(写真36)に入る。バーカウンター(写真37)やフルーツ類の置いてある所(写真38)を素通りして、次に、Fラウンジ(写真39)に入る。

Fラウンジは食材は豊富であるが、ビジネスラウンジと較べて内装等、特別豪華ということはない。それでも、Fラウンジ受付で「出発の時間になりましたら、お名前をお呼びしますので、ゆっくりくつろいで下さい」という案内嬢の挨拶にVIP待遇であることを実感する。お客は私を含めて3名のみであった。

ニューヨークのケネディ空港は全米を代表する巨大空港である。しかし、ユナイテッド航空のバブ(拠点)空港はサンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴ、デンバー、ワシントンの5カ所であり、ケネディ空港は拠点空港になっていない。よって、ユナイテッド航空のここのラウンジはケネディ空港の大きさに較べて小さい。ユナイテッドの豪華なラウンジを期待する人は上記のハブ空港を利用する必要がある。

午前9時、サンフランシスコ行きボーイング757-200 はケネディ空港を離陸した。今日も天気がいい。空港上空のジャマイカ湾(写真40写真41)がはっきり見える。サンフランシスコまで6時間半のフライト。時差ぼけもなく体調万全なので再びFクラス席が楽しめそうである。

朝食メニューとして、

@はじめに(各種選択)
全粒シリアル、デニッシュ、ヨーグルト(写真42)を選択
Aメイン(3種類より選択)
フレンチトースト、ハム添え(写真43)を選択
Bデザート
アイスクリームとコーヒー(写真44

サンフランシスコ到着の前に、軽い昼食として、

@メイン(2種類より選択)
チーズ盛り合わせ、フレッシュフルーツ添え(写真45)を選択
Aデザート(2種類より選択)
チョコレートケーキとコーヒー

ゆっくり食事を味わい、アメリカ大陸の移りゆく景色を眺め、疲れたら座席をフラットベッドにして休む。非常に快適なので6時間くらいすぐ経ってしまう。アメリカ西海岸と東海岸では時差が3時間もある。朝9時にニューヨークを出発して6時間かけてサンフランシスコに到着したのであるが、現地時間は正午である。この日は、旅の最後をゆっくり楽しむためにサンフランシスコのエアポートホテルで1泊した。


 
E 素晴らしいサンフランシスコのファーストクラスラウンジ
  いよいよ帰国の日である。今日のフライトは昼頃であるが朝8時にはサンフランシスコ国際空港(写真46)に行く。お目当ては空港ラウンジである。チェックインしようと思ってユナイテッド航空のカウンターへ行くと、いきなり赤絨毯(レッド・カーペット、写真47写真48)が目に付いた。「お〜、なかなかやるな!」私は密かに心の中でつぶやいた。

チェックイン、出国を済ませラウンジのある方向に歩いていくと、大きなラウンジ案内(写真49)が見える。まず、ビジネスラウンジ(レッド・カーペットクラブ)を訪れラウンジ内を見学する。

エントランス(写真50)からエスカレーターで上がっていくと広いラウンジ(写真51)がある。ドリンクコーナー(写真52)、バーカウンター(写真53)も充実している。朝早い時間帯なのでお客も少なく、静かないい雰囲気のラウンジである。

次は期待のFクラス専用ラウンジである。ユナイテッドのハブ(拠点)空港であるサンフランシスコの国際線 Fクラスラウンジ(写真54)は格が違った。ここはまさにFクラスの乗客にふさわしい「貴賓室」である。受付を通ってエレベーターで上がるとエントランス(写真55)に出る。内装が素晴らしい。一歩、ラウンジ内(写真56写真57)に足を踏み入れれば、貴族の館のプライベートなサロンのようである。もちろん食材・ドリンク類も豊富にそろっている。(写真58写真59写真60

私は自分で朝食メニュー(写真61写真62)を作り、誰もいないラウンジで最高に優雅な朝食を取った。その後は軽くシャワーを浴び、新聞・雑誌コーナー(写真63)から日経新聞・朝日新聞を取って、久しぶりに日本の新聞を読んだ。私は3時間近く、この広いラウンジにいたが、その間の利用者はわずか数名であった。実に、静かで、優雅で、快適なFクラス専用ラウンジであった。是非、もう一度利用してみたい。

 
     
F サンフランシスコ発中部国際空港行きボーイング777
  A.M11:10 B777(写真64)の機内に搭乗する。名古屋まで10時間半のロングフライト、体調も万全なので最後のFクラス席を十分楽しめそうである。本日のFクラス客は5名、全員が窓側席で既に自分の世界に入っている。座席に着くとすぐFAが挨拶に来る。若くて綺麗な日本人女性である。名前はユキ・マクドナルドさん。内心嬉しくなる。

水平飛行になってからランチがはじまる。相変わらずメニューは多彩である。私が選択した料理のみを以下紹介する。

@前菜1:スモークサーモン、紫たまねぎの甘煮添え(写真65
Aスープ:ポテトとチェダーチーズのチャウダー(写真66
B前菜2:マッシュルームとゴートチーズのシュトウルーデル(写真67
Cサラダ:季節の葉野菜、ドレッシング2種より選択(写真68
Dメイン(4種類から選択)
牛ヒレ肉のステーキ、ポートワインソース(写真69)を選択。
付け合わせ数種類の中から、「ベークトチェダーチーズポテト、野菜のソテー」を選ぶ。
Eデザート(スターバックのコーヒーと共に)
FAがワゴンに載せて(写真70)デザート類を持ってくる。 チーズセレクション:ケリーゴールド・ヴィンテージチェダー、ポールサリュ、クランベリーウエンズリーデイル(写真71
F締めくくりは
アイスクリームにサンデートッピング(写真72

食事の後は、新作映画を見たり、音楽を聴いたり、旅日記を書いたりしてリラックスする。FAのユキさんが「何かご用はありませんか?」とたずねてくるので、彼女と話しはじめた。

彼女は客室乗務員ではなく機内通訳(IISR:International Inflight Service Representative)であった。ユナイテッド航空が名古屋路線を就航させる時、地元企業の要請でIISRを搭乗させることにしたという。国際線Fクラス・ビジネスクラス担当の機内通訳、語学学習に苦しむ私としては「何とかっこいい職業なのか?」と思い、色々質問してみた。

ユキさんは日本で育ち、高校卒業後、オーストラリアに語学留学をする。

オーストラリアの大学進学を目指し2年間ESLコースを取るが、客室乗務員(FA)に興味を持ち方向転換。4〜5年に1回しかFAの募集をしないマレーシア航空のFAに見事合格、その後5年間程FAとしてキャリアを積む。(シンガポール航空のFAも4〜5年に1回の募集)

彼女は以前から看護の仕事にも興味があり、看護士の資格を取るためにマレーシア航空を辞めてサンフランシスコに生活の拠点を移す。サンフランシスコのカレッジに入学し、在学中にアメリカ人のマクドナルドさんと結婚する。

カレッジ卒業後は念願の正看護士の学校(R.N. Registered Nurse )に入学。RN資格を取れば全米・ヨーロッパのどこでも看護士の仕事が可能で医師並みに価値があるという。初任給(年収)でも700〜1000万円。それ故、RNコースは入学が非常に厳しく、退学者も多いという。RNは通常4年コース、彼女は現在RN在学中で、パートタイムでユナイテッドの機内通訳をしている。

海外生活を夢見る日本人(特に若い女性)は多いが、海外でキャリアアップをし続けることはどんなに大変なことか?彼女の話を聞いてて、ふとそんな気がした。機内通訳という輝ける仕事であっても、パートタイムの収入と RNの年収の大きな差は容易に想像がつく。

彼女を応援しよう。頑張れユキさん!

 
     
G ファーストクラスを考える
  日本からアメリカやヨーロッパに行こうとするとロングフライトは避けられない。若者ならともかく熟年世代にとって狭いエコノミー席で10時間近いフライトに耐えるのは苦しい。それ故、一度ビジネスクラス(以下Cクラスと略記)を体験するとその快適さに病みつきになる人も多い。私もその1人である。

近年、各航空会社のCクラスの充実には目を見張るものがある。かつてはFクラスの象徴であった「フルフラット・ベッド」が新Cクラスで珍しくなくなってきている。(注:ユナイテッド航空の Cクラスはまだフラットベッドになっていない)座席のリクライニングがあまり期待できないエコノミークラスとフラットベッドの新Cクラスとの間には革命的な差があると私は思う。食事の差も大きい。Cクラスではゆっくりコース料理が楽しめる。それ故、私はCクラスにこだわる。

では、新CクラスとFクラスとの間にはどんな差があるのだろうか?以下、ユナイテッド航空 Fクラスにはじめて搭乗した私の個人的な感想である。

FクラスはCクラスより、
@プライベート空間が広く窓側に座ればほぼ個室コーナー感覚になる。
A座席機能のアップ
B食事のグレードアップ
CFAのよりきめ細かな対応
DFクラス専用ラウンジの利用

ただ、機能的に見ればフラットベッドになった新CクラスとFクラスとの本質的な差はないと思う。また、料理についても既にコース料理になっているCクラスとより多様化したFクラスとの間に、両者の値段の差ほど違いがあるとは思えない。

両者の大きな差は「VIP待遇」を求めるかどうか?「ファーストのステイタス」にこだわるか、否か?になるのではなかろうか。Fクラス専用ラウンジを含めて、Fクラスは特別な人の特別な場所のような雰囲気を持っている。
(注:ユナイテッド航空は2007年後半より、新Fクラス席を導入。どんな豪華なファースト席が出現するか楽しみである。Fクラスもさらに進化する。)

世界中のグルメな客がFクラスに搭乗するので、航空会社は可能な限りの食の選択を提供しなければならない。狭い機内にもかかわらず個人スペースたっぷりの超快適空間のFクラスが満席になることはあまりない。これではFクラスの運営は誠にコストがかかる。最近では大手航空会社でも、Fクラスを廃止し、Cクラスをグレードアップする傾向にあるが、無理のない話である。

日本からニューヨークまで航空券を買おうとすると、Cクラスで約55万円、Fクラスで約136万円かかる。やはりFクラスは今でも一部特権階級の指定席である。そんな Fクラスに「一生に一度でいいから乗ってVIP待遇を受けてみたい」というのが、庶民のささやかな願いであろう。

そんな願いを実現させてくれた「ユナイテッド・マイレージ・プラス」に私は感謝する。願わくば、マイルさえ貯めれば無料でビジネスやファーストに乗れるよう、特典旅行の座席数を減らすことのないようにして頂きたい。マイルがあっても特典旅行できなければ意味がない。さらに言えば、マイレージプログラムが一般化してきた今日、お客に提供したマイル総数の増加に比例して特典枠も増やして頂きたい。ユナイテッド航空並びにスターアライアンスに忠誠心を誓っている私としては各航空会社に強く要望したい所である。
 
     
H 一般情報
 
◎ユナイテッド航空ホームページ
http://www.unitedairlines.co.jp/

「マイレージ・プラス」をクリックすると、マイルの貯め方、マイルの使い方、エリート会員資格等、マイレージの詳しい情報が得られる。
特典チャートを見ると、日本からのファーストクラス(往復)特典旅行に必要なマイルとして、ハワイ(9万)北アメリカ・カリブ諸国・中央アメリカ(12万)ヨーロッパ(14万)となっている。
  既に、マイル残高がたっぷりある人は「特典旅行予約」サイトがお勧めである。ビジネスやファーストの空席探しをするだけでも楽しい。


◎スターアライアンスホームページ
http://www.staralliance.jp/

「マイレージ・プログラム」はスターアライアンス加盟航空会社のマイレージの比較ができる。このページの基本マイレージに対する積算比率の表は非常に重要である。格安エコノミーでマイルを貯めようとしても各航空会社のマイレージプログラムごとに、また予約クラスごとに加算率が大幅に違う。
  「ラウンジ紹介」をクリックすると加盟航空会社のラウンジ情報が得られる。マイレージのエリート会員であるゴールドメンバーになればエコノミー客でも全世界のスターアライアンス系国際線ビジネスラウンジが同伴者1名共々無料で利用できる。(一部制限あり)


◎横浜海外旅行研究会ホームページ

「ファーストクラス・ビジネスクラスラウンジ情報専用掲示板」
「マイレージプラス・United airlines staralliance 加盟エアライン関連情報専用掲示板」
を私はよく利用する。搭乗者でなければ分からない細かい情報がタイムリーに得られて便利である。航空会社によって、また飛行機の機種によって、ファーストクラス・ビジネスクラスの座席やサービスは千差万別。ラウンジも同様。せっかく高いお金を払って(または貯めたマイルを使って)乗るのであるから事前研究は大事である。

                                        (2007年6月 掲載)